巨大物流センターと立ち上がる「斜めの壁」 穴守稲荷駅の羽田クロノゲートへ行ってみた

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斜めの壁が印象的なヤマトフォーラム

外へ出る。敷地内には、カフェや保育所も併設されている。そして、今回の見学のもうひとつの目的であるヤマトフォーラムもある。円形の体育館だ。これがどうしても見たかった。

この建物は、アップリフトという、耳慣れない工法で作られている。ネットで記事を見て以来、ボクはその工法の虜になっていた。その工法とはこうだ。現在は斜めの壁になっているコンクリートの板を、同心円状に、まずは地面にほぼ垂直に立てる。このときコンクリート板のてっぺんには、現在は屋根に張られている鉄骨が、つなげられややたるんでぶら下がっている。コンクリート板は計24枚が、ぐるりと並ぶ。

そして「せーのー」で、そのうち12枚のコンクリート板を支えている“つっかえ”を外し、外側へ倒す。すると、屋根用の鉄骨が引っ張られてぐっと持ち上がる。小さな模型で考えれば、ああなるほどねという工法だが、実際にはコンクリートの板は1枚9トンあり、鉄骨を1.8メートル持ち上げるのに、約5時間半かかった。やってみて「あれ、ちょっとうまくいかなかったね」というわけにはいかなかろう。

建設中の現場を見たかった

屋根はその後、ジャッキで高さ8.1メートルのところまで持ち上げられ、最終的に、天井高7メートルの体育館が完成した。盃のごとき壁の傾斜などにアップリフトの名残を感じ、なるほどこれがとは思うが、それ以上のことは感じられない。「へえ。これが見たかったんですかあ」といわんばかり編集者の視線を感じ、つい、うつむいてしまう。

じわじわとコンクリート板が倒れ、屋根の鉄骨が持ち上がる様子を見たかったなと後悔しきり。スゴイ工法は、やっぱり、施されているところを見たい。

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