家電見本市で見たスマートハウス普及の課題 積水ハウスが国内住宅メーカーで単独初出展
日本勢では、パナソニックが「くらし統合プラットフォーム」と位置づける「HomeX」に関連した展示やイベントを展開していたのが目立った。これは2018年末に発表されたもので、すでにグループ会社のパナソニックホームズの戸建て住宅「カサート アーバン」に搭載されている。
100周年を迎えたパナソニックの今後に向けて掲げた「くらしアップデート業」という戦略を具現化するための目玉の1つだ。販売する製品や設備などを制御し、人々の暮らしを快適にすることを目指した、家電企業グループならではのもので、グローバルIT企業の向こうを張るものともいえる。今後、対応する家電製品が続々と販売されるという。
このほか、スマートハウスカテゴリーにおいては、ウォシュレットと大便器をすっきり並べ、トイレを美しく保つ技術である「クリーンシナジー」などの展示を行っていたTOTOなどといった企業も、それぞれの持ち味を生かしたブースを設けていた。
緊急事態に対応できる家
さて、国内住宅メーカーとしてCESに初めて単独出展したのが住宅大手の積水ハウスだ。展示内容は、新プロジェクト「プラットフォームハウス構想」に関するもので、ほかのブースとは異なるベクトルでの出展だった。
構想では、住宅の居住者が命に関わる緊急事態(脳卒中、心筋梗塞、浴槽での溺死、転倒・転落など)になった場合、早期発見・通報・治療を可能にするシステムの開発を進め、来春をメドにサービス提供を開始するとしている。
住宅内で年間に発生する死亡事故は、実は交通事故死よりも多い。また、自動車では衝突防止機能などのイノベーションにより交通事故死が減少しているが、住宅にはそれがなく死亡事故は高止まりしたままである。
そのことに着目し、防止に向けたシステムを、センシング技術なども含めスマートハウス技術を駆使し構築しようというものだ。
システムが完成し、サービスが提供されれば、高齢者はもちろん、幅広い年代の人たちの安全な暮らしの実現に役立つ。それは日本において有用なだけでなく、世界中の人々の暮らしに役立つはずだ。そんな思惑を持って、発信の広がりがより期待できるCESの会場で発表したわけだ。
積水ハウスの仲井嘉浩社長は現地で「プラットフォームハウス構想は“家が幸せの基点となる”“家が健康を作り出す”という新しい価値観を提供するもの。これにより、事業領域を住まい手の生活サービスにまで広げ、今後の事業成長につなげたい」と語っていた。プラットフォームという言葉が使われているから少々紛らわしいが、これは健康長寿を実現する基本的な場として住宅に位置づけるという意味だ。
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