「ごはんですよ!」の桃屋が100年続くワケ 徹底して良品質の商品にこだわり続けた凄み

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課題解決のために小出社長が手がけたのは、テレビ番組などメディアへの出演を積極的に行い、こだわりのモノづくりの様子や商品を使ったアレンジレシピなどを取り上げてもらうことだった。また、アレンジレシピを訴求したテレビ広告を行ってきた。

いちばん重要な、顧客がスーパーの店頭で商品を目にする機会を増やすために、中通路の棚だけではなく、人通りの多い通路側に山積みするなど目立つ陳列にして、視認率が上がるように努めてきた。

商品を使ったレシピを紹介

当然、顧客の目に触れる場所は商談で確保しなければならない。営業を強化するため、それまで曖昧だった人事評価基準を改め、頑張った人が報われるような制度への変更やKPI(重要業績評価指標)の設定など改革を進めてきた。

一方、商品の価値を伝えていくために、商品を使ったレシピをホームページで掲載。このアイデアは、小出社長が行った店頭販売の際、単に商品そのものをお薦めするよりも、具体的にどのような料理に使えるかレシピを紹介しながら販売していた社長夫人のほうがよく売れていたという事実に基づいたものだ。

小出雄二(こいで ゆうじ)/桃屋 代表取締役社長。1961年生まれ。1985年慶応義塾大学商学部卒業。味の素を経て2011年4月桃屋入社。2011年12月より現職(筆者撮影)

レシピの大半は社長夫人が考えたものだ。主婦目線で、冷蔵庫にある材料で同社の商品を利用することにより、簡単かつ美味しい料理を作れることを伝えることに注力していった。

こうした課題に対する地道な取り組みが実を結び、5期連続での増収増益につながっている。

今後の展開として、小出社長は、まずは桃屋の商品を目につくようにし、どのように使うのかを伝えていく。それにより、桃屋の商品を忘れてしまっている顧客にもう一度振り向いてもらうようにしていくことの徹底を挙げている。

「弊社商品を継続購入している顧客はまだ1割程度。その意味では、課題に対して、まだ1合目なので、今後もポテンシャルは大きいと考えている」(小出社長)という。

もちろん新商品の開発も行っている。他社がまねできるものは作らないという理念を徹底するため開発のハードルは高い。年に1、2品くらいに絞り、本当によいものだけを出していきたいとしている。そのほかにも、今後、食品に関連する新規事業への参入も検討しているという。

2020年に創業100周年を迎える桃屋。今後もよい商品を作り、価値を伝えていくことで、冷蔵庫を開ければ必ず同社商品が入っているという状態を築いていき、今後も「桃屋の商品でなければだめだ」というファンを1人でも多く増やしていくことだろう。

渡辺 雄大 帝国データバンク 東京支社情報部情報取材編集課 副課長

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わたなべ たけひろ / Takehiro Watanabe

1998年に帝国データバンクに入社。東京支社調査部、同情報部、京都支店情報部で企業の信用調査や倒産企業の取材・記事執筆のほか、注目業界の動向やトピックをまとめたリポートを作成。2018年10月から現職。

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