「ごはんですよ!」の桃屋が100年続くワケ 徹底して良品質の商品にこだわり続けた凄み

✎ 1〜 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 28
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
1973年に発売した「ごはんですよ!」は桃屋のロングセラー商品となる(写真:桃屋)

以降も「いか塩辛」(1952年発売)や、2代目社長で現名誉会長である小出孝之氏がリーダーシップをとって、当時、日本でほとんど知られていなかった「味付メンマ」「味付榨菜(ザーサイ)」を業界初として1968年に発売。

そして、1973年には同社を代表するロングセラー商品「ごはんですよ!」を発売することとなった。

生のあおさのりを原料に、味付けには本醸造しょうゆ、砂糖を使用し、トロッとした食べやすい食感を実現。

名誉会長の小出氏が夕飯ときに、「ごはんですよ」と呼びかけられたことをきっかけに、商品名として採用した。親しみやすいネーミングも受けて、全国的にのりの佃煮がポピュラーになるなど大ヒットした。「ごはんですよ!」の誕生が同社のターニングポイントとなり、会社を大きく飛躍させるきっかけになった。

「食べる調味料」のパイオニアに

その後も、「キムチの素」「五目寿司のたね」、そして2倍濃縮タイプで業界初となる「つゆ」など、つねに業界初となる商品を作り続け成長し、2009年には日本中に「食べるラー油」ブームを巻き起こした「辛そうで辛くない少し辛いラー油」を発売することとなる。

「辛そうで辛くない少し辛いラー油」、商品名は名誉会長の案だ(写真:桃屋)

同商品は、1990年代後半に、開発部の担当者が中国・四川省に出張に行った際、地元の飲食店の卓上にあったラー油を目にしたことがきっかけだという。

そのラー油は、これまで日本にあったラー油とはまったく違い、何種類もの具材を豊富に使い、日本のラー油と比較し、数倍もの辛さだったそうだ。

その後、2000年代に入り、節約志向から外食を控える動きが増えていった。消費者のなかに、「調理技術はないけれど、美味しさには妥協したくない」というニーズがあるとみて、「かけるだけでうまい」をコンセプトにラー油の開発に着手した。

ネーミングについては色々と思案したが、オリジナリティーの高いラー油であることを反映させようという話になった。「色鮮やかでありながら、見た目ほど辛くない」という見た目と味のギャップをそのままストレートに表現することとなり、名誉会長の小出氏のアイデアで「辛そうで辛くない少し辛いラー油」に決まったという。

同商品は爆発的にヒットし、緊急に増産体制を敷いたが間に合わず、2010年3月には主要新聞朝刊に「品薄に関するお詫び広告」を掲載。「食べるラー油」ブームの牽引役として創業以来最大のヒット商品となった。それだけでなく、その後の「食べる調味料」というマーケットのパイオニアとなった。

次ページ1年以上かけて作る製品もある
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事