ロボット需要減速?安川電機が再び下方修正 米中貿易摩擦が直撃、設備投資は様子見に

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なぜ、強気の予想が立てられたのか。1つ目の理由は、中国以外の地域の勢いが健在であることだ。工作機械大手・オークマの花木義麿社長は2020年3月期の展望を「アメリカ向けは堅調で、欧州向けもしぶとく成長を続ける」と見通す。

2つ目の理由は、中国市場は底を打ったという見方だ。安川電機の小笠原社長は「最近の中国向け産業用ロボットの受注は悪くない水準で、横ばい状態」と語り、オークマの花木社長も「中国はこれ以上落ちようがない」と言い切る。今年の秋ごろには中国市場が上向くと見込んでいる企業が多い。

中国以外の地域の勢いが強いことは事実だ。だが、中国の再浮上については、予想と言うよりは「願望」と言ったほうが正しい。「受注高が減少に転じる要因は米中貿易摩擦しかない」(安川電機・小笠原社長)。ただ、民間企業は貿易摩擦の展開を左右できない。

欧州強化に活路を見出せるか

また、中国以外のマイナス要因もある。まず、近年のFA業界を潤わせたスマートフォン需要の一層の減速懸念だ。加えて、工作機械は12月の内需受注高が23カ月ぶりに前年比で減少に転じた。「今年でいちばん見通しにくいのは日本国内」(オークマ・花木社長)という意見もあり、懸念は貿易摩擦だけとは言い切れない。

そんな中、多くの工作機械メーカーが今年の抱負として掲げるのが、日本企業のシェアが低い欧州の強化だ。ファナックの稲葉会長も「幸か不幸か、(欧州は)われわれは弱い地域なので切り開いていく。私も今年は(欧州に)何回も行かなければならないと思う」と前のめりだ。

産業用ロボット業界からは「今年はより一層、競合他社がロボットを導入している工場の更新需要に食い込んでいく。工場の稼働率を明示するIoTソリューションなど、付加価値の提供で競り勝ちたい」(国内大手メーカー関係者)と競争に意欲的な声も聞かれる。

米中貿易摩擦により「空前の活況」に水を差されてしまったFA業界。強気の業界目標とは裏腹に、多くの経営者が需要の弱含みを織り込み、身構えている。2019年はパイの拡大を期待できない分、久しぶりに各社で明暗が分かれ、真価が問われる1年になりそうだ。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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