ロボット需要減速?安川電機が再び下方修正

米中貿易摩擦が直撃、設備投資は様子見に

近年のFA業界は絶好調だった。自動車やスマートフォン、半導体など多くの業界で受注が拡大し、「空前の活況」を迎えていた。日本工作機械工業会(日工会)が公表する日本メーカーの年間受注高は、2017年に過去最高を記録。2018年も速報ベースで1兆8158億円と連続更新が見込まれる。産業用ロボットの業界団体である日本ロボット工業会も、2018年に史上初めて年間受注高が1兆円を突破した、という推計を発表した。

安川電機とともに産業用ロボット4強の一角を担う、ファナック。業績を下方修正した(記者撮影)

その勢いに水を差したのが、世界最大のFA市場・中国を巻き込んだ米中貿易摩擦である。2018年7月の決算説明会で、NC(数値制御)装置で世界最大手・ファナックの稲葉善治会長が「米中貿易戦争を懸念し、自動車関連メーカーが設備投資の様子見を始めた。投資意欲が落ちた結果、受注に影響が出始めている」と発言。発言通り、FA業界内で続々と中国向け受注の減速が顕在化した。

アメリカが仕掛けた中国に対する関税引き上げ政策を、業界はさほど問題視していなかった。中国での設備投資メリットが薄まっても、「(顧客企業が)ほかの国に生産拠点を移し、そこで設備投資が展開される」(国内工作機械大手幹部)とみられていたからだ。誤算だったのは、米中間の交渉が長引き、製造業各社が設備投資の最終決定を下せなかったことである。

2019年は過去最高の受注高?

ただ、今後については強気の見通しが相次ぐ。1月9日に日工会が発表した2019年の年間予想受注高は、1兆6000億円と前年比11.9%減少するが2018年、2017年に次ぐ過去3番目の高水準。日本ロボット工業会に至っては、2019年の予想受注高を過去最高の1兆0500億円(前年比4.0%増)と見込む。

日工会の予想受注高について、工作機械の国内最大手、DMG森精機の森雅彦社長は「1.5~1.6兆円強と考えていたので妥当な額」とする。国内大手、牧野フライス製作所の井上真一社長も「予想どおりの数字」と語るなど、業界内では無難な水準と受け取られている。

一方、成長を見込む日本ロボット工業会の予想は、「ロボットは、(自動車や電機・電子向けといった)今までどおりの仕向け先だけでなく、物流倉庫など新しい領域の開拓が始まっている。期待を込めたプラス成長」(日本ロボット工業会・橋本康彦会長)と、やや強気に作られた数字のようだ。安川電機の小笠原浩社長も「4%成長という数字は、(伸びるというより)横ばいを維持し、落ちないという意思表示」と冷静に分析する。

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