JOC竹田氏の起訴はフランス政府の「復讐」か 世界が注目するのはゴーン氏との待遇の差

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つまり、たとえばブラック・タイディングスに、コンサル料をアメリカドルで支払った場合、あるいは、その支払いがアメリカを経由して行われていた場合、竹田氏はアメリカで調査される可能性がある。

「もし私が竹田氏の弁護士だったら、現時点ではアメリカに行かないように忠告するだろう。アメリカの司法省は、すでに同氏の事件に取り掛かっているかもしれず、アメリカ領土に足を踏み入れるや否や逮捕される可能性がある」と、あるフランスのベテラン刑事弁護士は話す。

竹田氏とゴーン氏の待遇の明らかな違い

一方、日本ではどうなっているのだろうか。2016年、JOCによって選ばれた弁護士2人と会計監査人1人は、竹田氏は日本の法律も国際オリンピック委員会の規則にも違反していない、と結論付けている。

ル・モンドが竹田氏の贈賄疑惑を報じた後、特にフランスでは多くの人がゴーン氏と竹田氏が、日本とフランスの司法制度のもとでどのような扱いを受けるのかを注視することになるだろう。ゴーン氏が起訴される前からすでに東京拘置所に入れられ、自らの起訴にかかわる書類などにもアクセスできず、非人道的とも言える扱いを受けていることは既報である。

一方、フランスの司法制度下では、竹田氏は自身の裁判ファイルへのアクセスが可能で、弁護士とともに予審判事と面談することができた。予審判事が竹田氏への説明に納得せず起訴、すなわち正式捜査を開始したにもかかわらず、同氏は自由に東京に戻ることができた。

ゴーン氏と竹田氏はそれぞれ他国の司法制度のもと「起訴」されたが、これ以上異なる待遇は考えられない。フランスの哲学者パスカルが書いたように、「Plaisante justice qu'une riviére borne(川で仕切られた滑稽な正義)」ということなのだろうか。

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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