シャネル社長が「豊洲移転」に異議唱える理由 銀座の魅力は築地によって保たれている

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築地は外国人観光客にも人気の場所だ(撮影:梅谷 秀司)
築地市場の移転問題がくすぶっている。昨年11月に豊洲市場への移転が延期されて以降、「豊洲移転案」に加えて、「築地再整備案」が浮上し、今月には築地市場の土壌汚染調査も始まった。
最終的には、双方の案を吟味したうえで、小池百合子東京都知事が判断する見通しだが、こうした中、「築地再整備案」を強く推すのが、シャネル日本法人社長でフランス人のリシャール・コラス氏である。在日フランス大使館やジバンシィなどの勤務を経て、1985年にシャネル日本法人に入社した同氏の日本在住歴は40年以上。現在は鎌倉に住み、鎌倉市国際親善大使を務めるなど、フランス人きっての日本通としても知られる。
そのコラス氏が何年も胸を痛めているのが、東京、あるいは、日本のドラスチックな変わりようである。都内随所で再開発が行われ、昔から人々に親しまれてきた建物が壊され、そこに息づいていた人々の暮らしが消えていく――。こうした中、同じく古い歴史を持つ国、フランスの出身であるコラス氏は積極的に東京という街の「保存」を求めて声をあげている。最近は築地市場の保存に関心を示しているコラス氏に話を聞いた。

ギンザシックスにも異議を唱えた

――なぜ築地市場の保存に関心を寄せているのですか。

日本の文化とイメージを保たなければいけないからです。築地市場が壊されようとしている今、自分の考えについて話すことが自分の義務だと考えています。私は「ギンザシックス」の当初の計画に対しても異議を唱えたことがあります。

当初、ギンザシックスは今よりも大規模な施設になる予定で、これによって銀座のパワフルかつ繊細な魅力が破壊されると思ったからです。これによって、ギンザシックスはより適正な大きさに縮小されたのだと思います。同様に、築地市場を移転すれば、銀座だけでなく、東京、さらには日本のイメージを破壊しかねないと考えています。築地を移転するなんて、ノートルダム大聖堂をパリからリヨンに移すのと同じくらいバカげています。

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