JOC竹田氏の起訴はフランス政府の「復讐」か 世界が注目するのはゴーン氏との待遇の差
ブラック・タイディングスは、IAAFの前会長でIOCの投票権を持つラミン・ディアック氏の息子であるパパ・マッサタ・ディアック氏(同氏も国際陸連のコンサルタントを務める)と関係が深く、竹田氏はブラック・タイディングスの「報告書」に対して、77万ユーロを支払ったとしている(報告書は読んでいないという)。
さらに、東京開催が決定した後、竹田氏は新たに作成された報告書に対して1億ドルを支払ったという(こちらの報告書には目を通したとしている)。フランスの予審判事は、こうした報告書への料金(コンサル料)が賄賂にあたるのではないかという疑いを強めている。
「ロビー活動と汚職の境界線は崩れつつある」
こうした疑惑や調査に対して、竹田氏はすでに国会や記者会見で質問を受けており、それらに対して回答している。2016年9月2日に東京都庁で開かれた会議で同氏は質問された後、「皆様にご心配をおかけしましたが、疑いは晴れました」と話している。
ところが、東京地検特捜部が得た答えに納得できなかった、フランスの予審判事、ルノー・バン・リュインベック氏は、「予審」として知られる手続の第一段階として竹田氏に対する聴取のための出頭を要求。竹田氏は弁護士にステファン・ボニファッシ氏を選んだ。ボニファッシ氏を知る弁護士によると、同氏は「思慮深く、非常に真面目で、この種の事件について有能な人物」だという。
今回の焦点はJOCがブラック・タイディングスに支払った「コンサル料」が贈賄にあたるかどうかだが、あるフランスの弁護士は、「ロビー活動と汚職の境界線は崩れつつある。竹田氏はこうした新時代の犠牲者なのかもしれない」と見る。
竹田氏起訴に向けた動きとゴーン氏の追起訴のタイミングは偶然にも重なったが、これをフランス政府による「復讐計画」の一環とみるのは無理がある。
リュインベック氏は、フランスでも尊敬されている人物で、裁判官として長い経験を持っており、政治的影響から独立していることでも知られている。同氏はこの件にしばらく関わっており、ゴーン氏とエマニュエル・マクロン大統領の関係や、日産、あるいはルノーの将来について今さら気にする理由はない。
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