人手不足は「労働条件が酷い」会社の泣き言だ 移民受け入れの前に「賃上げ」を断行せよ

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企業の規模が小さくなればなるほど給与水準が低くなるのは、日本だけではなく世界中で共通してみられる傾向です。つまり、求人倍率が上昇しているのは、日本人労働者が給料水準の低い企業から、次第にいなくなっているという現象の表れなのです。

不足しているのは「人手」ではなく「経営者の能力」

「それこそ人手不足ではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、一概にそうとは言い切れません。

たしかに、規模の小さい企業の経営者は今の状況を人手不足だと感じるかもしれません。たとえば、今までは10人で仕事をこなしていたある会社で、人口が減ってしまったため、8人しか集められなくなると、その会社の経営者にしてみれば2人分の人手不足が起こっているように見えることでしょう。

しかし、それは今までの仕事のやり方を変えず、そのまま継続しようするから、そう見えるだけです。その企業のビジネスモデルを変えることによって、10人でやっていた仕事を8人でやれるようにすればいいだけです。安い賃金でたくさんの人を雇えた状況が変わった今こそ、これまで導入する必要がなかった技術を導入するべきです。今まで10人でやっていた仕事のうち、技術を導入すれば8人でやれるケースは多いはずです。行政や銀行などの無駄な書類、ネットで対応できるのにいまだにアナログでやっている仕事も含めてです。

現在、日本の生産性は世界28位という極めて低い水準にあります。現在の水準が低いということは、伸びしろが大きいという見方もできます。

現在発売中の『週刊東洋経済』でも、生産性をテーマとした特集を組んでいます(書影をクリックすると、アマゾンのページにジャンプします)

現段階では生産性が低い企業でも、生産性を高めるために設備投資をしたり、仕事の付加価値を高めるなどの経営努力によって、無駄をなくし、より高い給料で人を雇うことが可能になるので、人手不足の問題も緩和することができるはずです。

たとえば観光戦略を見ても、団体客対応のためにできた施設をそのままにして、安くても泊まりたい客が減る一方の宿泊施設も多いです。こういった宿泊施設は時代遅れなので、どんなに頑張っても、いつまでたっても需要は戻りません。

だから、従業員の給与を安く押えないと存続できないけれども、そこで働きたい人はいない。これを「人手不足」と定義していいでしょうか。私にはそうは思えません。高齢化に伴って需要の中身が変わったのであれば、それに対応する努力をすべきです。

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