人手不足は「労働条件が酷い」会社の泣き言だ 移民受け入れの前に「賃上げ」を断行せよ
ですので、政府の意図はともかく、経営者の意図は、多かれ少なかれ、人口減少によって労働者の立場が強くなり、賃上げの圧力が強くなっているのを緩和したい。その賃上げ圧力を緩和することによって、改革を先送りすることができると意図しているのでしょう 。
途上国からの受け入れは明らかに「低賃金」狙い
政府は受け入れの対象者を技能者などに限ると言っていますが、受け入れの対象としている国はミャンマー、フィリピン、ベトナムなどの、いわゆる途上国にしていることにポイントがあります。
もちろん、これらの国々の出身者を見下すつもりは毛頭ありませんが、途上国なので、これらの国々に高い技能を持つ労働者が多くいるはずもありません。
これらの途上国からやってくる外国人労働者を、日本人以上に安く雇うことができるから、今までのやり方を変える必要もなく、経営者たちは既得権を温存できます。一方で、今でさえ世界一厳しい状況にある企業間の過当競争が激化して、デフレをさらに深刻にするでしょう。
安い賃金で働く人が増えれば増えるほど、経済全体にとっては、生産性を抑制することにもつながり、高生産性・高所得経済への移行は夢に終わってしまいます。
たしかに外国人の受け入れを増やせば、需要者が増えるという意味で、人口が減ることによる経済への悪影響は多少緩和されます。しかし、一方で、日本で働く労働者全体の所得レベルの低下を招くことも十分に考えられます。
ある一定期間の滞在の後に、外国人労働者が皆帰国してくれればいいのですが、その後も日本に住み続けることになれば、所得の水準の低い人が増える分だけ、今まで以上に社会保障の健全性が棄損する結果につながります。
極めて短期的に考えれば、外国人労働者の受け入れ拡大は、日本経済にとっての特効薬に見えるかもしれません。しかし、実際にふたを開けた途端、歴史に残る大間違いに終わる可能性は極めて大きいと懸念せざるをえません。
やはり、外国人を簡単に受け入れる前に、もっと真剣に生産性向上に取り組むべきです。ほかにもやるべきことはいくらでもあるはずです。
同時に、労働者は安く雇って無駄に使うのが当たり前だという、世界的に見て非常識な日本企業の経営者のマインドを変えることも必須だと感じます。
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