人手不足は「労働条件が酷い」会社の泣き言だ

移民受け入れの前に「賃上げ」を断行せよ

もちろん、こういう努力を怠り、ただ単に今まで通りのやり方を継続したい、生産性向上なんかしたくないというのであれば、人口減少によって大変な人手不足の問題に悩まされることでしょう。

言い方を変えれば、人手不足を問題視し、政府に対策を求める姿勢こそが、多かれ少なかれ日本の経営者の無責任さを物語っているのです。

「低すぎる賃金」が日本企業の「無駄」を助長した

今までの日本では、企業経営者たちは優秀な人材を数多く、しかも世界的に見ると異常なまでに安い賃金で調達することが可能でした。その水準はまさに異常です。

例として、日本とイギリスを比較してみましょう。日本人の生産性はイギリス人の98%です。一方、日本の最低賃金はイギリスの3分の2です。そして、この異常に安い最低賃金で働いている日本人が、今も増えているという悲しい現実が存在します。

逆の見方をすると、日本企業は数多くの優秀な人材を安く調達することができたからこそ、生産性が低くなってしまったとも言えるでしょう。

この発想を持って、今までの日本的な問題と言われてきた特徴を再検証する価値は高いです。たとえば、何人も何人もの人間が雁首そろえて長々と話しても、何も決まらない会議。経営者にしてみれば、労働者の時間単価が安いから、どんなに会議が長くて無駄が生じても、気にもならないのでしょう。いっそのこと、賃金を倍にしてみたらどうでしょうか。

女性の活躍が日本でなかなか進まないのも、原因は同じところにあります。世界的に見ても、最低賃金で最も多く雇われているのは女性です。日本の最低賃金で女性を雇って、年間2000時間働いてもらっても、年間の賃金は200万円にもなりません。

大した給料を払っていないから、客観的に見てあまり必要がない仕事でも頼みます。給料が安いので、技術を導入する必要もないし、会社のあり方を変える必要もありません。逆に給料が安いから、仮にその人が優秀であっても、能力なりの仕事を頼みづらい。

つまりは、安い給料で人材の調達が可能だから、無駄が蔓延してしまっているのです。仮に女性社員の賃金が今の3倍だったら、社長も女性社員にもっと活躍してほしくなるはずです。

次ページ賃金を上げれば、経営者は「人の使い方」を工夫する
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