この非市場経済国というのは中国を指すのは明らかで、間違いなく、日本や欧州とのFTAにおいてはこの一文を入れることにアメリカは固執するでしょうし、そうなるとこの「デカップリング」に日本を含めたアメリカ友好国全体が巻き込まれる可能性は十分で、その意味では安易に「冷戦」という言葉を使うことも当たらないような気もします。
日本企業にとっても「難儀」な状況に
すでに一部で報道されているように、「トランプ大統領は早ければ1月中にも、イランなどへの制裁に使ってきた国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、アメリカ企業が中国のハイテク企業であるファーウェイとZTEの通信機器利用を禁止する大統領令を出す」との話まであります。
ここにきて、いわばノーブレーキ状態のトランプ政権が暴走し始めるとこういうことが起きて来る。日本が良い例ですが、すでに5Gの実証実験にはファーウェイなども参加していたため、こういう話になると同盟国はかなり難しい立場に追い込まれることになります(政府は中央省庁の情報通信機器調達で、事実上2社を排除する方針)。米中はすでにもうお互いの「面子」を掛けた戦いになり、そう簡単に退けるものではありません。われわれ日本企業にとっても「難儀」な状況が続くことになり、昨年までと異なり、今年の最大のリスクはまさにトランプ大統領ではないでしょうか。
こういうアメリカの状況のルーツは元々あったわけですが、私は「まさにカップが満タンになってしまった…」と表現しています。MMTが閣外に去った今、まさにカップは満タン状態。どこからこぼれて来るのか、市場はかなり緊張して見ているはずです。
なお、最近のアメリカにおけるトランプ大統領を取り巻く環境、国民感情(特にトランプ支持者)ついて非常に良く書けた本があります。他社の本で恐縮ですが、朝日新聞出版社「記者、ラストベルトに住む」(金成隆一著)はお勧めです。
トランプ本はアメリカに住んだり、実際に仕事をしたりしている私から見ると、違和感ありまくりの本が多いのですが、これはかなり現実に近い。著者の金成さんは朝日新聞のニューヨーク特派員ですが、ラストベルト地帯などに実際に住んでみるなど、記者魂は健在です。そのあたりにご興味のある方には、是非お勧めしておきたいと思います(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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