2019年が始まった。相場格言では今年は「亥固まる」。ところが亥年の年初は、世界同時株安で始まった。為替も一時は1ドル=104円台をつけるという波乱の展開である。1月4日に大発会を迎えた東京証券取引所も下げて、日経平均株価は452円81銭安の1万9561円96銭と2万円台を大きく割り込んだ。
4日のNYダウは一転大幅高となったが、ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が世界景気を不安視する市場に配慮した発言をしたことが大きい。
問題だったティム・クックCEOの「2つの言い訳」
同時株安の発端は、1月2日にアップル社のティム・クックCEOが株主宛に送った書簡にある。同社のプレスリリースにも出ているから、こういうときは原典に当たってみるのが確実だ 。昨年10-12月期の売り上げが、2カ月前の見通しの「890~930億ドル」から840億ドル程度になりそうだと下方修正を伝えている。それだけなら大事件ではないように思えるが、問題はクックCEOの「言い訳」の中身にあった。
ひとつは中国市場の弱さで、「中華圏」(The Greater China=アップル社は中国に台湾と香港を加えてこういう呼び方をしている)の落ち込みが、そのまま会社全体の収入減になると伝えている。これを聞くと「やっぱりね」であって、中国経済の減速は予想以上に深刻なようだ。2019年は案の定、世界的な景気後退への警戒が必要だということになる。
もうひとつはiPhoneの需要が弱含んでいることで、それはドル高や競争激化、さらには消費者行動の変化(例えば新機種に買い替える代わりに、バッテリーを交換するようになった)などを指摘している。要はスマートフォン市場も成熟化してきた、ということに尽きる。なにしろiPhoneが初登場したのは、ひと回り前の亥年の2007年のこと。アップル社の「画期的な新製品」も、だんだんネタが尽きてきたように見える。
もう少し大袈裟に言わせてもらうと、これはアップル社に先導されてきたハイテクブームに対する「頂門の一針」(急所をついた厳しい戒め)なのではないか。
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