4人の男性が「専業主夫」を早々に離脱したワケ

妻が稼ぎ、夫が家庭を守る「分業」は快適か

子どもは学校で「お弁当を作ってくれたママにお手紙を書こう」と言われる。世間はまだまだ「シュフ=主婦」というイメージだ。ただ、「保険会社を辞めてすぐのときは、自分自身も用事もないのにスーツで保育園にお迎えに行ったりしていましたが、今は吹っ切れてあまり気になることはないです」という。

その後、次女が生まれた。金子さん夫妻が住んでいる京都市は待機児童はほぼゼロ。そのため、今も次女を保育園に預けることができている。あくまでも非常勤やバイトにとどめ、専業主夫にならない理由について金子さんは次のように話す。

「第一に家計補助です。費用負担は、家賃、光熱費、保育園の利用料は妻。食費、通信費は自分と分けており、その他欲しいモノ、交際費、勉強代は自分で捻出しています。それからやはり、四六時中ずっと子どもといるのはしんどい。両親とも遠方で頼れず、誰かに預かってもらえる場所があるとうれしいです」

「あと社会との接点は必要ですよね。ずっと一人で子どもとマンツーマンだと病んでしまうかもしれないと思います。外に出て働いて、少ない時間でも人と接して少しでもお金をもらっていると精神的に落ち着きます」

東京ではフルタイム夫婦でないと認可保育園に入りにくい自治体が多いが、3歳児未満の子を持つ主夫・主婦であっても預け先が欲しいという声はあるはずだ。

今後について、金子さん夫妻が決めていることは、「夫婦ともフルタイムの共働きはしない」ということ。「僕のスペックでは経歴に穴もあり、一般市場では転職は厳しい。今後会社にフルコミットすることは考えていません。それよりもいま自由な身であることを生かして、資格を取得したい。家庭を優先できる週3日の非常勤嘱託や副業などを考え、勉強中です」。

結局のところ、彼らの選択はフルタイム会社員夫婦の両立がいかに難しいかということの裏返しとも言える。では、「主夫と会社員女性」の組み合わせは、完全に従来型の「専業主婦と会社員男性」の男女が入れ替わったバージョンなのかというと、微妙に異なる点も見られる。それは、育休中などに一定程度、母親側が専業主婦生活を経験しているためか、主夫になった夫に対しての理解度や協力度が高いという点だ。

ロンドンで18万円の保育料

専業主婦の人たちに取材をすると、自分の時間を作るために子どもを有料で預けたり、外部サービスを使うことには罪悪感を抱いてしまうという声が多い。ところが夫に主夫として支えてもらっている妻たちからは、育休中などに一日中子どもといる大変さを理解しているゆえに、夫たちの「自分の時間捻出」には前向きな様子がうかがえる。

商社に勤務している妻の転勤に伴い、「駐在妻」ならぬ「駐在夫」になった福田さん(仮名、30代半ば)。妻がかねて海外勤務を希望していたので、「よほどのことでない限りついていこう」と決めており、2017年にロンドンで主夫生活を始めた。

しかし、それまで、土日に子どもたちと過ごすことはあっても、平日妻がいない状況で24時間子ども2人と過ごすという生活をしたことがなかった。大きな環境変化に戸惑った。

「7日のうち週末の2日だけなら貴重な時間でも、平日5日ワンオペ育児はつらかったです。上の子は遊んでほしいと言ってくるし、下の子は傍にいないと泣いて追いかけてくるし、トイレもゆっくりできない……。これが毎日続くのかと思うと絶望感がありました」

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