「食」は味よりインスタ映え?になった平成

暮らしも仕事も遊びもITが変えた

「食べる通信」は、食のつくり手を特集した情報誌とともに、生産物を定期購読者に届ける仕組みだ。 インターネットを利用することで、生産現場と消費者の距離をぐんと近づけている。写真は、『東北食べる通信』より(写真:東北食べる通信)
今日食べた食事を、気軽にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やインスタグラムにアップし、飲食店探しからレシピ探しまで、 スマートフォンひとつで簡単にできる時代。食事が単に食べる行為から 「自己表現」するものに広がっている。 そして1990年代のメディアは、食をエンターテインメントに仕立て上げた。その一方で、食品偽装問題、食品添加物への不安など、さまざまな社会問題も、情報革命により可視化され、解決法が探られ始めたのではないだろうか。

食は社会を写す鏡である。人間が生きるうえで不可欠なため、政治や経済、家庭など幅広い要素が関わるからだ。社会との接点を念頭に、平成の食を振り返ってみよう。

記事は『東京人』2019年2月号(1月4日発売)より一部を転載しています(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

最も大きなトピックは、IT革命により情報化が進んだことだ。パソコンと携帯電話、もしくはその両者を合体させたスマートフォンは、今や必需品である。インターネットを使った食のサービスも次々と始まった。飲食店情報では平成8(1996)年に「ぐるなび」、17(2005)年に「食べログ」が、レシピサイトでは、10(1998)年に「クックパッド」、17年に「レシピブログ」がサービスを開始している。おかげで、飲食店探しもレシピ探しも、スマートフォンひとつで簡単にできる時代になった。

インターネットサイトに、一般の人が気軽に投稿してメディアを持つことができる時代もすぐにやってきた。料理の写真をSNSに投稿する人が増えたのは、平成14(2002)年にデジタルカメラの販売台数がフィルムカメラを抜いてからだ。スマートフォンの画像を簡単に投稿できる、インスタグラムの人気が急激に高まったのは平成26(2014)年。29(2017)年末頃から、写真写りのよい料理などが「インスタ映え」と呼ばれ、それを狙った商品まで発売されるようになった。

多様化する料理の楽しみ方

昭和63(1988)年創刊の『Hanako』(マガジンハウス)、平成2(1990)年創刊 の『dancyu』(プレジデント)など、 グルメ情報を発信する雑誌が創刊されたのが、元号の変わり目。料理対決を軸とした「料理の鉄人」(フジテレビ系)が人気を呼んだのは、1990年代。2000年前後にはデパ地下ブームが起こり、名店の料理や菓子を、日常的に楽しむ人が増えた。

やがて駅弁や高速道路のサービスエリア、商業施設、大学の学食に至るまでグルメ化が進み、気がつけば日本は世界が注目するグルメ大国になっていた。『ミシュランガイド』の東京版が発売されたのは、平成19(2007)年である。

今や東京では世界中の料理が食べられる。その中で近年人気が高いのは、東南アジア・南アジア・東アジアのアジア飯である。背景には、この地域からの移民増加がある。

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