もともと、この交渉はもめる条件がビンゴのようにそろっていました。
ポスティングにおける価格(年棒)の高騰についてはMLBからかなりの不満が出ていましたし(ワタクシでも知っているくらいですから、NPBが知らないとしたらただの怠慢)、そもそもFAで取ればいいんじゃないか・・という議論が先方にはずっとあったのです。
さらにいえば、大金をかけても、ポスティング制度で活躍したのは事実上、渡米した直後の松坂大輔投手と、ダルビッシュ有投手の二人だけなわけで、MLBから見ればむしろ失敗例が多いわけです。その意味では、この制度は当初から破綻の危機にあったわけで、それをNPBが理解していなかったとすると大問題です。
それでもMLB側は「この制度を続けよう」という意思を、最初に示しました。これはゲス(推測)ですが、「どうしても田中投手が欲しい」という、アメリカ球団側の意向があったと思われます。つまり田中投手は、まるで「えさ」にされているわけですね。
ところがどういうわけか、その弁護士二人の「扇動」により、先方のオファーを蹴ると言う暴挙にでます。
ただでさえ、制度そのものに先方が疑問を持っているのに、田中投手に色気を出して、続けてもいいよ、と言ってきた時点で、これは相当ラッキーで、気が変わらないうちに決着をつけよう、というのがプロのネゴシエーターの仕事。選手会を巻き込んで「これは飲んでおいた方が得だぞ」、という交渉をするのが先です。もしどうしても納得しないのであれば。あとはどうなっても知らないぞ、という事になるのですが、そこまで状況を説明されれば、仲間である田中投手を犠牲にする、という結論にはならなかったんだろう、と思います。
そして6日現在、上限を20億円にする、という案が先方から提示されているのですが、これも迅速に決断しないと厄介なことになるでしょう。このままいくと結局MLBと日本プロ野球選手会双方からFA期間がそもそも長すぎるのだ、という「本質的な」議論が出てくるのは必至で、これではNPBは何も得るものがありません。
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