これが全貌!慶応「三田会」が最強である理由 個別三田会はなんと870もある

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こうした構図を基礎にさまざまな分野に進出していく各種三田会の姿は、まさに百花繚乱(りょうらん)の感がある。

9月1日土曜日、帝国ホテル「富士の間」。一つの三田会としては異例の340人の大人数を集めたパーティーが開かれた。いま最も勢いのある三田会として知られる「不動産三田会」の30周年を祝う会だ。

不動産三田会のすごさは親睦に「実利」を加えた点にある。不動産業は「情報、人脈が命」の割には、どこか相手を信用しきれない面が業界に残っている。その「信用しきれない部分」を慶應の信用で埋める。つまり三田会の仲間同士で取引をするのである。

毎月の例会での「情報交換会」がその場になる。会員は「これは」という物件を持ち込み、売り込む。興味を持てば、懇親会などで詳細を聞き込んでいく。

取引が成立すると、義務ではないが例会で「成約報告」をすることができる。利益の一部を慶應に寄付する慣例もある。

「20年以上、成約報告は途切れず続いています」(事務局の佐藤正人氏)

会員は増え続け、現在約870人。例会の参加者は70~80人にもなる。

「慶應愛」あふれる塾員の「再生産」

新しい三田会も次々に生まれている。昨年できた「ファイナンシャル・プランナー(FP)三田会」も、その一つ。三田会結成を望む長老の声に加藤惠子代表が応えた。テレビ出演で知られる藤川太さんが中心メンバーの一人だ。

44人と小所帯で、人集めが大変なようだ、会社勤めの企業内FPは大勢いるはずだが、だれが資格を持っているかは調べようがない。設立時も独立系FPのホームページを調べて塾員を特定、勧誘していった。

親睦と学びが二本柱。FP力向上のための勉強会を今月から始めた。会員の営業強化に役立てばと、ホームページには自己PRできるコーナーも設けている。

連合三田会には登録していないが、会員数約4500人と大勢力を誇るのは「Facebook三田会」だ。今月7日には、塾員ならだれもが知っている三田の「つるの屋」で忘年会が開かれた。

「つるの屋閉店」の情報を聞き「最後」と思って選んだが、店主によると「噂を信じないでください。変わらず営業を続けます」。

幹部の松延健児さんによると、ネットらしい「フラットさ」が特徴という。

「皆が『さん』づけで呼ぶなど先輩がいばらない三田会です。有名人の会員もいますが、特別扱いはしません。昔の話が出ないところが他と違います」

会員のみの非公開ページ。「なりすまし」が多く、入念な入会審査が行われる。投稿は「慶應関係」に限られる。野球やラグビーの慶早戦(慶應では「早慶戦」とは言わない)になると、観戦中の会員による「実況中継」で盛り上がるという。

自分のタイムラインには流したくない「慶應ネタ」を流せるのがいい、と語る会員がいた。

「月曜日に会社を休んで慶早戦を見に行くときでも、気兼ねなく発言できます」

改めて三田会全体を眺めると、「三拍子」そろった強さに気づく。創設者の教え、集まるための「インフラ」、そして「継続は力なり」で長年かけて築かれたシステムが「慶應愛」あふれる塾員を「再生産」していく……最強の組織は、まさに盤石なようだ。

(記事:『週刊朝日』2018年12月28日号)

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