「勘と経験」バカにする人が見逃す仕事の本質 デキる人は「論理」だけでは動かない

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「ロジック」だけによる意思決定には、おのずと限界があるといいます(写真:bee / PIXTA)
累計20万部を突破している『仮説思考』『論点思考』の著者、内田和成氏。現在は早稲田大学ビジネススクールの教授で競争戦略論やリーダーシップ論を教えるが、20年以上ボストン コンサルティング グループに在籍し、日本代表を務めた経験もある。経営コンサルタントの仕事を通じて優れた経営者から学んだのは、彼らは経験や直感を大切にしているということである。
大改革を成し遂げた経営者、ユニークな戦略で自社を飛躍させた経営者に、「なぜ、そのような意思決定をしたのか」と尋ねると、「勘です」とか、「答えは誰もわからない、やってみるしかない」という回答をもらうことが多いという。
内田氏の新著『右脳思考』では、優れたビジネスマンが意外にも、感覚・感情、直感、勘など、論理(ロジック)では説明できない「右脳」的なものを重視していると述べている。本稿では、右脳の使い方、鍛え方を解説してもらった。

「勘はダメ、ロジカルシンキングが大切」は本当か

社会人になったばかりで、まだ学生気分が抜けきらない頃に、「仕事は遊びじゃないのだから、『好き』『嫌い』で仕事をするな」とか、「経験や勘で仕事をするな」と言われた記憶はないだろうか。

『右脳思考』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

仕事をするうえで、何よりも大事なことはデータや数字に基づいて物事を論理的に考えることであって、間違っても勘を頼りに判断してはいけないと教わったりもする。いわゆるロジカルシンキング(論理的思考)の大切さを、説かれるわけである。

本当であろうか?

人間は私生活では、相当、勘や感覚を頼りにしている。

たとえば、冷蔵庫に残っている食品を食べられるかどうか考えるときに、料理や食材の購入経験の少ない私と息子は消費期限を見て、期限内であれば安心できると判断し、食べる。

一方で、料理経験が豊富でしょっちゅうスーパーなどで買い物をしている妻や娘たちはどうかというと、基本的に五感を大切にする。まず見た目で大丈夫かどうか判断し、次ににおいを嗅いだり、目を凝らして表面を見たり、表面を少し強く押してみたりする。場合によっては実際に口に入れて、大丈夫だとか、やっぱりダメだとか判断する。一見、非合理的で危ない判断の仕方に見える。

しかし、よく考えてみると実は合理的である。

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