「勘と経験」バカにする人が見逃す仕事の本質 デキる人は「論理」だけでは動かない

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もちろん、成功したから、何を言ってもよいという見方もあり、成功した経営者と同じように勘で判断して失敗し、舞台から消え去った経営者の数のほうが実は多いだろう。だから、やはり勘に頼るよりは、ロジカルに考えるべきなのであろうという考え方もありうる。

それでも、私は「勘はダメ」とは思わない。

先に20年以上コンサルティングファームに在籍し、「論理的思考をたたき込まれた」「たたき込んだ」と述べたが、実は、分析よりもひらめきやワクワク感に重きを置くタイプであった。

直感・ひらめきとロジック、使い分けのコツは?

感覚・感情、直感、勘など、論理(ロジック)では説明できないひらめき・思いつき・考えを総称して右脳とする。

それに対して、左脳とはロジック(論理)そのもの、あるいはロジックで説明できるものを指すことにする。

私が伝えたいのは、ロジカルシンキングの否定ではない。ロジックだけでなく感情や勘、すなわち右脳を働かせることで仕事をより効率的に進める、あるいは、成果を上げることができるということである。

もちろん、やみくもに右脳で仕事をすることを勧めるわけではない。

12月に上梓した『右脳思考』の中では、主に3つのポイントから右脳の活用を紹介している。

1つ目は、左脳と右脳には使う順番と場所がある。

2つ目は、左脳と右脳は独立して別々に使うものではなく、両者の間ではキャッチボールが必要である。これを思考のキャッチボールと呼ぶ。

3つ目は、ビジネスで役に立つ右脳をどう鍛えるかである。

つねにロジカルシンキングを徹底することでうまくいっている人や、その逆で、いつも経験と勘で乗り切っている人には本書は必要ないかもしれないが、そうした人はビジネスの経験が少ないか、自分がうまくいっていないことに気づいていないだけだと思う。

「ロジカルシンキングでやっているのだが、結果が出ない、うまくいかない。人がついてこない、動いてくれない」

「経験や勘でやってきたが、時々不安になる、当たり外れが大きい。人に信用されない、限界を感じる」

「ロジカルシンキングと経験・勘のどちらをどのように使い分けたらよいか悩んでいる」

ビジネスをやっていくうち、こうした悩みに行き当たるのが普通だと思う。こうした悩みを解決するには、右脳思考、つまり右脳を使う順番と場所を理解し、右脳と左脳のキャッチボールを行うことがカギになる。

内田 和成 東京女子大学特別客員教授、早稲田大学名誉教授

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うちだ かずなり / Kazunari Uchida

東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。日本航空株式会社を経て、ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。2006年度には「世界の有力コンサルタント25人」に選出。
2006年から2022年3月まで早稲田大学教授。早稲田大学ビジネススクールでは意思決定論、競争戦略論、リーダーシップ論を教えるかたわら、エグゼクティブプログラムにも力を入れる。
主な著書に、『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『アウトプット思考』(PHP研究所)、『できるリーダーが意思決定の前に考えること』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー・ロングセラーが多数ある。

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