衝撃!「日本語が読めない日本人」は案外いる AIに仕事を奪われる、中学生以下の大人たち

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RSTでは、例題のような問題が、分野ごとに複数出題され、正答率によって読解力の能力値が判定されます。

最新の調査によると、「イメージ同定」と「具体例同定」を苦手とする子どもが多いことがわかっています。「イメージ同定」の正答率は中1で約3割、高1で5割弱。「具体例同定」は例題のような理数問題だと中1で2割弱、高1では3割強という低い正答率でした。

偏差値と「読めなさ」の強い関連性

RSTには、これまでに学校や企業など324機関が参加し、7万人超が受検しています。受検者の年齢層は小学校6年生から社会人まで多岐にわたります。「リーディングスキルフォーラム」では、これまでの受検者のデータの分析結果が報告されました。

偏差値が先か、「読めなさ」が先か

そこで興味深い報告がありました。全学年が参加した高校の偏差値と、正答率の相関です。RSTの能力値を偏差値表記すると、学校の偏差値と能力値の偏差値の間に強い相関関係がありました。つまり、「生徒の学力と読解力には関連がある」ということです。

教科書を読む力がある生徒の学力が高いことは、当然のことのような気がするかもしれません。が、注目すべきはそのことではないと思われます。

RSTの分析結果は、「読解力の不足が、学力の不足の一因となっている」可能性を示唆しています。つまり、生徒の学力を向上させるには、数学の問題を解いたり、歴史上の出来事や年表を暗記したり、化学式や数学の公式を暗記したりするだけではなく、教科書を読む力を高めることも重要である可能性を示していると言えます。

市を挙げてRSTを教育に活用する動きも

RSTを教育に活用する学校も増えています。

埼玉県の戸田市教育委員会は「すべての生徒が中学校卒業段階で、教科書を正しく読めるようにすること」を目標に掲げ、RSTを活用するさまざまな活動に先駆的に取り組んでいます。2015年に実験的に中学2年生の18%に当たる203人と、3年生の13%の144人が受検したのを皮切りに、2017年からはすべての市立小中学校の小学校6年生から中学3年生までの全児童生徒がRSTを受検しています。

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