大手百貨店の高島屋は、2013年3~8月期の連結純利益は前期比6%増の175億円となり、予想を8億円上回ったと発表しました。さらに、売上高にあたる「営業収益」は4%増、「営業利益」は14%増と、好業績となりました。やはり、高額品の伸びが業績を牽引したとのことです。
また、同じく大手百貨店の三越伊勢丹の2013年4~9月期の連結決算によると、売上高は前年同期比5%増、営業利益は、なんと55%の大幅増となり、三越と伊勢丹が統合して以来、過去最高の業績となりました。こちらも、高額品の伸びが顕著であったと発表されました。
このように、大手百貨店2社については、資産効果の好影響を大きく受けたと言えますが、今回分析したJフロントと近鉄百貨店については、好影響はないわけではありませんが、業績そのものはそれほど伸びていないのです。
ただ、ここで業績が回復したとしても、注意が必要です。こうした環境利益によって一時的にうまくいくという状況は、企業経営上、最も危険なところなのです。というのは、環境によって業績が改善しても、それは自分たちの努力によるものではないからです。
資産効果はいつまでも続くわけではありませんし、来年4月には消費税増税も控えていますから、このまま百貨店業界への追い風が続くとは言えません。今、業績が改善していても、早めに対策を打たなければ、もしアベノミクスが失敗したり、終了後の反動が起こった場合、余計に業績が悪化してしまいます。
特に、追い風が吹いているにもかかわらず業績があまり伸びていないところは、早めに事業や人員のリストラや体質強化を進める必要があるのではないでしょうか。
百貨店業界の先行きは、アベノミクスによる資産効果の行方と同時に、各企業の今後の対策や戦略にも注目することが肝要です。
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