J.フロントと近鉄百貨店を分析する

アベノミクスで百貨店は本当に潤ったのか?

確かに「百貨店事業」の「外部顧客への売上高」は、3574億円から3733億円まで伸びています。「セグメント利益」も、64億円から86億円まで順調に増えていますね。

ただ、前年同期と比べて大きく異なる点が2つあります。ひとつは、赤字事業だった「スーパーマーケット事業」がなくなったこと。もうひとつは、新たに加わった「パルコ事業」が大きな利益をもたらしているということです。

今年4月、イオンはJフロント傘下の食品スーパーであるピーコックストアを300億円で買収しました。その後、同店は社名が「イオンマーケット」と変わり、完全にJフロントから離れたのです。ピーコックストアは首都圏や近畿圏を中心に展開していましたが、食品スーパーの値下げ競争の激化やサービスの悪化などによって既存店の業績が低迷し、2012年度には営業赤字に転じていました。それを手放したことが、業績改善につながったというわけです。

もうひとつ、後者の「パルコ事業」ですが、これは2012年8月にJフロントがパルコを買収し、子会社化したのです。その後、大規模改装が功を奏したことや景気回復の追い風を受けて、パルコの業績が拡大しました。こちらも大きな好材料となったことは間違いありません。

以上のことを考えますと、業績改善の理由は、アベノミクスによる資産効果よりも、リストラ効果のほうが大きいと言えます。スーパー事業のリストラを行い、好業績のパルコを連結対象に加えたことで、Jフロント全体の業績が改善した、ということです。

損益計算書だけ見ますと、一見、「アベノミクスの好影響によって、業績が改善したのではないか」という印象を受けますが、セグメント情報から詳しく分析しますと、違う要因が見えてくるのです。

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