J.フロントと近鉄百貨店を分析する

アベノミクスで百貨店は本当に潤ったのか?

近鉄百貨店、あべのハルカス近鉄本店の影響は?

次に、近鉄百貨店の2013年3~8月期の決算内容を分析してみましょう。2013年6月13日、近鉄百貨店は阿倍野店の大改装を行い、地上300メートルという日本一の高層ビル「あべのハルカス」に「あべのハルカス近鉄本店タワー館」として先行オープンしました。それがどれだけ業績に影響したかが、大きなポイントになります。

では、損益計算書(短信の8ページ参照から見ていきましょう。「売上高」は、1324億円から1338億円まで微増しています。近鉄本店が開業したのは6月ですから、およそ3カ月間の実績が加味されているわけですが、それでも微増にとどまったというわけです。

もう少し詳しく見てみましょう。「店別売上高」(同13ページ)を調べますと、最も大きく伸びているのは、やはり今年6月に先行オープンした近鉄本店で、前年同期比7.6%増となっています。ところが、そのほかの店舗を見ますと、草津店の2.0%増以外は売上高が減少していることがわかります。合計では、近鉄本店の伸びによって、かろうじて1.6%増となっていますが、全体を見るとほとんどの店舗の業績が惨憺たる状況になっているのです。

次に「商品別売上高」(同13ペーを見てみます。大幅に伸びているのは、主に「身回品」「家具」「雑貨」です。この「身回品」とは、腕時計や宝飾品などの高額品が占められます。つまり、資産効果によって家具や宝飾品などの高額品が伸びたことは間違いないのですが、全体の売り上げを大きく牽引するほど伸びてはいないということです。

損益計算書に戻ります。「売上原価」は1013億円から1023億円まで増加。「販売費及び一般管理費」は、300億円から311億円まで増えています。これは、近鉄本店の開業に伴う初期費用がかかってしまったことが主な要因です。「営業利益」は、10億円から4億円まで減益となりました。ほぼ半減です。

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