26歳元サッカー選手が漫画出版にかける勝機 海外で成仏させた選手人生、今は社長に転身

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「僕みたいに明確な物差しを突きつけられて、レベルの差を実感して辞められる人はそう多くはないと思うんです。サッカーを辞める人ってどこか未練があって、ちょっと意図的に競技と距離を置いたりとかすると思うんですけど、そういうわけでもなく純粋に納得できた自分がいました」

現役への未練がなくなったこの状態を丸山氏は“成仏”と表現する。

年齢やケガなど、引退する理由は人によってさまざまだ。たとえ有名選手であっても最後には悔いを残して現役を退くことがある世界で、ピッチに未練を残す亡霊にならずにすっきりと丸山氏のように選手を辞められる人は実はそう多くはないのかもしれない。

現役時代の経験と幅広いつながりが道を切り開く

引退後は特に競技への強いこだわりもなく、基本的に依頼を受けるスタンスでいた。それでも依頼内容はコーチや選手のエージェント業務、貧困地域にボールを届けるチャリティー活動など、サッカーに関することばかり。

さまざまな依頼にフットワーク軽く応えていく中でテレビ朝日の人気番組「激レアさんを連れてきた。」への出演依頼も舞い込んだ。それが現在の会社の立ち上げを支援する投資家との出会いにもつながっている。

マンガの会社を立ち上げた経緯を話した丸山氏(筆者撮影)

なぜマンガの会社なのだろうか?

丸山氏がマンガの可能性に気がついたのはリトアニアでの現役時代までさかのぼる。

「リトアニアのチームの選手は国籍がバラバラで母国語が違っており、浅い英語だけで会話するしかありませんでした。そんな中、僕が練習中に長くドリブルをして監督に怒られたことがありました。

『お前はキャプテン翼か?』と。『キャプテン翼』のアニメでは、翼くんと岬くんがセリフを交わしながら地平線の向こうからドリブルしてくるシーンが数分続くことがあります。つまりそのくらい長くお前はドリブルしているぞ、という皮肉を言ったわけですね。

言葉もよくわからないリトアニアで日本人の僕が日本のサッカーマンガ『キャプテン翼』を例に出して怒られるってすごいことだなと思いました。しかもチームのみんなもその様子を頭でイメージできるので周りで笑うんですよ」

丸山氏曰く、リトアニアで流れているアニメはアメリカや日本の吹き替え版で現地のものはほとんどなかったという。マンガも日本のものと比べるとレベルが低い印象を受けた。遠い異国の地で圧倒的知名度を誇る日本のマンガに大きな可能性を感じていたのである。

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