「株が現金より運用成績悪い」異常が示す予兆 アメリカで「キャッシュ」が魅力的になっている

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今年、キャッシュ同等物のパフォーマンスが株式や債券を上回れば、1992年以来28年ぶりのことになるそうだ。こうした背景には、アメリカの中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)の政策金利引き上げがある。2016年11月に金利の引き上げを再開して以来、0.25%ずつとはいえ、すでに7回の利上げが行われ、この12月中旬のFOMC(連邦公開市場委員会)で、さらなる追加利上げが決まれば、2年で2%金利が上がったことになる。

2018年、年初から上がったもの、下がったものは?

金利上昇の影響を受けて、ニューヨーク株式市場は大きく乱高下し、 アメリカ債などの債券価格も下落(金利は上昇)。さらに、金でさえも2018年は7%(金先物、COMEX)前後下げ、本来なら景気拡大局面では上昇するはずの原油価格までもが大きく下げた。昨年まで絶好調だった仮想通貨のビットコインも、ピーク時から8割も下落している。

ウォールストリート・ジャーナルによると、アメリカでキャッシュの指標として知られている「S&Pアメリカ債3-6カ月指数」の年初来リターンは1.7%。この1.7%というパフォーマンスを上回る投資商品はイスラエル株やブラジル株、インド株ぐらいで、商品市況でもココアぐらいしか上昇していないそうだ。

それだけFRBの金利引き上げの威力は大きかったと見るべきだろう。

もともと資産運用の鉄則は、株式や投資信託(ファンド)、そして中長期債券などにバランスよく分散投資して長期運用を目指すのが基本だ。世界的に見ても、それが資産運用の鉄則と言ってもいい。

とりわけ、アメリカでは「株式に勝る運用先はない」と長い間信じられてきた。国民の多くが、金融機関やファイナンシャルプランナーなどのアドバイスに沿って、銀行預金ではなく株式に投資してきた。銀行預金よりも、株式や長期債券に分散投資することで資産を形成するのが常識なのだ。

その鉄則が通用しないほど、2018年の投資環境は異常だった、ということだ。実際に、年初来の運用益(パフォーマンス)で見た場合、世界の株価指数を算出している「MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)」によれば、次のような結果になっている(2018年11月末現在)。

<世界の株式市場全体指数>
●MSCI-ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)……-2.55%
●MSCI-World(全世界市場)……-1.20%
●MSCI-Emerging Market(新興国市場)……-12.24%

ちなみに、各投資商品の年初来のパフォーマンスを見てみよう。

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