「株が現金より運用成績悪い」異常が示す予兆 アメリカで「キャッシュ」が魅力的になっている

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ちなみに、日本の地銀が抱える有価証券の含み益が、ここにきて大きく減少。金融庁の発表では、2016年3月末に2.6兆円あった含み益は、18年3月末には1兆円にまで減少している。

「運用難」が続く2019年、投資先をいかに見つけるか

さて、問題は運用難だった2018年に次いで、2019年はどんな投資環境になるかだ。逆イールド現象が出たことで、景気の先行きは不透明になった。加えて、アメリカの金利はまだ上がりそうだ。

FRBは、政策金利の引き上げを19年に3回、20年に1回行うと宣言している。その想定に基づいて考えれば、短期債券や銀行の定期預金などのキャッシュはさらに高いパフォーマンスが期待できそうだし、株式市場は逆にさらなる下落が想定される。

アメリカの株式市場が下落すれば、アメリカドルも売られて円高となり、日本株も下落するのがこれまでの想定シナリオなのだが、最近は「高金利通貨」となっているアメリカドルが下落しないため、アメリカ株に比べて日本株は下落しにくい状況が続いている。

もっとも、アメリカの長期金利(10年物国債)は、現時点(12月7日)では株価下落の目安と言われている年3%の水準を割り込んでいる。その背景には、金利の先物市場などがすでに2019年のFRBの利上げに懐疑的になっているからだと言われる。今後も、政策金利の上昇が続けば間違いなく、金利が上昇して株価が下落することになるわけだが、アメリカ経済を取り巻く投資環境は不透明感が増している。

その背景には、90日しか猶予のない中国との貿易戦争、ロシア疑惑や中間選挙大敗によって生じるトランプ政権の不安定さなど、問題山積だ。さらに、3月には期限を迎える「ブレグジット(イギリスのEU離脱)」も、イギリス下院で交渉案が否決されれば6000兆円のデリバティブが不安定になると、イングランド銀行も警告している。トランプ政権も2019年には絶体絶命のピンチを何回か迎えそうだ。

再びリーマン級の不況がくれば、FRBの利上げはストップする。そう考えると、アメリカはキャッシュだけが有効な投資商品とも言えなくなる。多様な投資対象を想定しておく必要がありそうだ。

その一方で、日本も相当不安定な1年になりそうだ。アメリカと違って、金利が上昇する気配はないから、キャッシュは相変わらず「当面の元本割れなし」という以外にメリットはない。投資商品としては魅力がなく、想定外の円安やインフレには対応できない。

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