「株が現金より運用成績悪い」異常が示す予兆 アメリカで「キャッシュ」が魅力的になっている

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反面、徐々に日銀が出口戦略をはじめて、日本の金利も上昇局面になれば、アメリカのようにキャッシュがその年の投資商品として注目されるようなことになるかもしれない。しかし、2019年は世界経済全体が景気減速を予測されており、対米貿易交渉や消費税率アップといったさまざまなイベントも待ち構えている。

日本でも多様な投資先を模索する時代に

また、世界経済が減速すれば日本経済も減速する。2019年はIMF(国際通貨基金)が貿易戦争や保護主義などを理由にアメリカの経済成長率を下方修正している。アメリカの景気減速は世界全体の景気減速を招く。日本も当然、その準備が必要だ。

とはいえ、残念ながら日本が他の国と異なるのは、日銀には「打つ手」がないことだ。2018年には、出口戦略を実施して景気の減速の準備をしなければいけなかったのだが、景気拡大を最優先して、マイナス金利、異次元金利をかたくなに続けてしまった。

世界中が移民排斥に動くなかで、日本は移民受け入れ促進を法制化したのと同様、日本の政策のタイミングはつねに「時遅し」なのかもしれない。

日本の投資環境で、キャッシュに魅力を感じられる日は当面くる気配はない。そういう意味では、アメリカ同様に株式や債券に代わる多様な投資先を見つける時代を迎えている、と言ってもいいだろう。

もっとも、投資先の多様化と言っても、金やプラチナ、絵画、ヴィンテージワインといった発想では難しいかもしれない。日本ではまだ普及していない「プライベート・エクイティ」をはじめとして、ヘッジファンドの中でも金融市場の動きにあまり左右されない「マーケット・ニュートラル」、あるいは、海外の格安な株式や不動産といった発想の転換が必要なのかもしれない。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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