アウディが見せた「EV」の圧倒的すぎる進化 e-tronは12気筒エンジンにも勝るほど静かだ

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パフォーマンスが高ければ高いEVほど急速充電器との関係が重要になる(筆者撮影)

ただし、である。95kWもの容量を持ち、WLTPドライビングサイクルにおいて400km以上の航続距離を持つe-tronは、欧州では専用の150kWの急速充電が可能で、この場合ストレスなく使うことができる。実際この試乗会でも、150kWで充電可能な急速充電器でのチャージのデモが見られた。そこでは実際には100kW近い出力でチャージが行われていた。

日本でストレスなく使うには何らかの対策が必要だ

しかしながら日本では、この恩恵は受けられない。e-tronは来年の夏ごろに日本導入が予定されているが、当面は日本のチャデモを使うことになるわけで、最大50kWといわれているため、チャージには時間がかかる。また家庭用の普通充電では当然急速充電のような大きな出力は出せないため、さらに長い時間でのチャージが現実となってくる。

アウディジャパンにこの点を聞いてみると、現時点では国内のチャデモを用いるとの回答。今後ディーラーなどで専用の急速充電器等が設置されるか否かは未定のようだ。

しかしながら、テスラなどの高電圧バッテリーを搭載したハイパフォーマンスEVは、やはり強力な急速充電器の使用がマストで、筆者も実際に遠出の試乗をした際には、パフォーマンスが高ければ高いEVほど急速充電器との関係が重要になると感じたのだった。

おそらく95kW程度の性能のEVであるe-tronもストレスなく使うには何らかの対策が必要であることは間違いない。

そんな具合にして、アウディe-tronはプロダクトとしては今年1番のクルマだったと断言できる完成度の高さを見せてくれた一方で、プレミアムなEVだからこそ切っても切れない充電インフラとの関連が悩ましいのも事実といえる1台だったのである。

とはいえ、これほどまでに完成度の高いEVが登場したことで、欧州のライバルメーカーはもちろん、日本の自動車メーカーも、今後のEV開発にさらなる高レベルが求められることは間違いない。しかもこのe-tron、価格的に欧州では7万9900ユーロ(約1030万円)と、想像以上に価格を抑えてきている点にも注目したい。そしてこの感覚であれば、日本でもグレードによっては1000万円を切るモデルが用意される可能性もある。いずれにしても来年の夏ごろの導入と言われているので非常に楽しみである。

それにしてもアウディe-tron、2018年の最後に登場したこのモデルは、確実にこの先の未来におけるEV事情に大きな影響を与える、そんな完成度の1台だった。

河口 まなぶ 自動車ジャーナリスト

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かわぐち まなぶ / Manabu Kawaguchi

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。2010年にWeb上の自動車部「LOVE CARS!」(部員約2200人)を設立し主宰。Facebook上に「大人の自転車部」を設立し主宰、2万人ものメンバーが参加。また同じくFacebook上に「初めてのトライアスロン部」を設立し主宰、1500人のメンバーが参加。TV、新聞、Web、各種自動車メディアに出演・寄稿を行うほか、YouTubeでは独自の動画チャンネル「LOVE CARS!TV!」(登録者数8万7000人)で動画を配信。Yahoo!ニュースに個人でも自動車に関する記事を発信している。趣味は水泳、自転車、マラソン、トライアスロンでは毎年アイアンマンレースを完走している。

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