年10億円超の横領もある「成年後見人」の本質 親族後見人による不正が問題になっている
Q. 後見人による不正はどうしたら防げますか?
A. 後見人に適切に財産管理をしてもらうため「後見制度支援信託」の利用が増えています。本人の財産のうち日常生活に必要な分を預貯金などとして成年後見人が管理し、通常使用しない分を信託銀行に信託する仕組みです。
市民後見人の育成が進められている
Q. 後見人への報酬が支払えない人は利用できないのでしょうか?
A. 身寄りがない人、生活保護受給者、預金・収入がない人の中には、後見人へ報酬を支払えないケースがあります。その場合は、自治体により成年後見制度利用支援事業から、全額または一部助成金が支払われることがあります。
Q. 成年後見制度以外の方法はありますか?
A. 社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」では利用者との契約に基づき、福祉サービス利用手続き、金銭管理や重要書類の保管などを行います。ただし、支援内容に制限があり、成年後見に比べ重大な行為はできません。
Q. 成年後見制度の利用は途中でやめられる?
A. 本人の判断能力の回復など正当な理由が認められれば、利用をやめられる場合があります。
Q. 後見してくれる親族はいませんが、専門職は避けたいときはどうすればよい?
A. 最近は市民後見人の育成が進められています。市民後見人とは研修などにより後見制度の知識を身に付けた一般市民の後見人のこと。多忙な専門職とは異なり、きめ細やかな身上保護を期待できます。ただし、申し立てても必ず選任されるとは限りません。
牧野 篤(まきの あつし)先生
東京大学大学院教育学研究科教授。まちづくりや高齢化、過疎化問題を中心に自治体と連携して地域の生涯学習の共同調査を行う。現在、地域後見推進プロジェクトを進行中。『市民後見 入門』(誠信書房)など著書多数。
(取材・文/中沢文子)
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