羽生結弦とザギトワが世界一に君臨する秘密 フィギュア界を激変させたのは、あの「目」だ
「フィギュアスケート史上でこんな選手はいなかった。目から演技ができている数少ない選手だ。彼が歴史上生み出したのは、驚異的な集中力で演目の時に目と人格を変える、曲に憑依する能力だ。この能力において彼は圧倒的だ」(振付師)
フィギュアスケート強国のロシアでも、トップ選手には、目で演技することを求めているのだ。
今年2月、平昌オリンピックの女子フィギュアスケートで金メダルを獲得したのはアリーナ・ザギトワ。拠点をロシアの首都・モスクワに置き、エリートたちを育成する極秘施設「サンボ70(セブンティー)」でトップスケーターらとしのぎを削っている。
「サンボ70」とは、かつてロシアの格闘技サンボを強化するために国が作った施設。柔道、陸上、水泳などでロシアの天才アスリートを生み出すため、超エリートだけが通うことを許された養成学校だ。平昌オリンピック銀メダリストのメドベージェワ、今年ジュニアグランプリシリーズの大会で女子選手では史上初となる4回転ルッツに成功したトルソワなど、多くのトップ選手が輩出されている。
陸上でも軽々3回転
ザギトワを訪れたこの日は、グランプリシリーズのフィンランド大会で優勝した直後だった。一般的には休息をとり、コンディションを整えるところだが、ザギトワは帰国してすぐに、当然のように練習を再開した。
最初のジョギングこそリラックスした笑顔を見せていたが、バレエレッスンが始まると空気は一変した。
取材陣を驚かせたのは、地上でくるくる回る華麗な跳躍。陸上で2回転半以上を行うのは世界のトップフィギュアスケーターでも至難の業だが、ザギトワは軽々と陸上で3回転を成功させ、他の選手もルーティンのように軽々こなしていく。こうしたトレーニングが2時間以上続いたが、これはあくまで準備運動の段階だ。
氷上練習に移ると、選手たちは恐れずにジャンプを繰り返す。本番さながらに挑み、技の成功率をあげているのだという。フィギュアスケートの1曲分の体の負荷は、長距離走を全力ダッシュするのと同じだというが、ザギトワは10曲分ほど続けていた。
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