羽生結弦とザギトワが世界一に君臨する秘密

フィギュア界を激変させたのは、あの「目」だ

休むことなく、ハードなトレーニングをこなしていると、事件は起こった。

ロシアで最高権力を持つとも呼ばれ、フィギュアスケート界の神とも称されるエテリコーチが、ザギトワの滑り方を見て突然激怒し始めたのだ。

「ザギトワふざけてんのか!本気でやれ!」

「1位だったからって調子に乗ってんのか? それでまた勝てると思うなよ!」

「何度やってもお前はダメだな!」 (エテリ)

繰り返しになるが、この日は世界大会で優勝し、帰国した翌日だ。コーチいわく「気持ちが浮ついていて、動きが全然なってない」とのことだが、マシンガンのように浴びせられる罵声にザギトワの目に涙がにじむ。

徹底的なダメ出しがあるからこそ鍛えられる

しかし、この徹底的なダメ出しがあるからこそ手の先、足先、そして羽生同様、“目”でも訴える演技が生まれる。これこそが「サンボ70」の強みであり、ザギトワが15歳で世界を制することができたのは、このような日々の特訓のおかげと言える。

「毎日毎日あきれるぐらい練習をしているわ。日が暮れて帰るころには満ち足りた気分になるの!」

世界一になっても手を抜くことなく、連日ハードなトレーニングに挑む(写真:毎日放送)

「ほかにもね、毎日化粧をして美しさを最高に保てとか、鏡に向かって自分のきれいな顔を常にイメージするようしなさいとか、コーチの作ったいろいろなルールがあるのよ」(ザギトワ)

魅せ方のプロを目指すため、日々の生活の中から美しい女性になるためのたたずまいを徹底的に教え込まれる。こうした教えが色気のある演技を生み出したのだ。

進化を続けるロシア勢を相手に、日本に勝ち目はあるのだろうか。

ライターの野口さんは、今年頭角を現した次世代のスター選手に共通する要素があると言う。それは、フィギュアスケーターの姉を持つ「妹」である点だ。

2022年北京冬季オリンピックでメダル候補として注目されるのは、紀平梨花(きひら・りか)、吉田陽菜(よしだ・はな)、本田紗来(ほんだ・さら)。3人とも「妹」なのだ。

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