「ドルビーシネマ」初上陸が博多になった理由 新たなプレミアムシアターが日本にお目見え
新幹線が頻繁に往来するJR博多駅。九州の玄関口といわれる当駅の駅ビルに東映系のティ・ジョイが運営するシネコン「T・ジョイ博多」がある。ドルビーシネマシステムを導入したスクリーンが11月23日から導入された。座席数は348席で、この日から公開になった映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』が、このシステムで上映されている。
オープンに先駆けてマスコミ向けの内覧会が実施され、さっそく体験したが、映像のディテールがきめ細かく、闇と光のコントラストがハッキリ打ち出された非常にクリアな印象を受ける。それゆえにカーチェイスなどをはじめとしたアクションシーンも臨場感あふれる。一方の音響も劇場を包み込むようなサウンドが縦横無尽に鳴り響き、観客の興奮を最大限に引き出してくれる。
内覧会に合せて行われた先行上映会では、スティーブン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』を上映、シアター入り口には、AVP(Audio Visual Path)と呼ばれるモニタースクリーンが設置されていた。そこで映される映像は上映作品に合わせて変わるとのことだが、この日は『レディ・プレイヤー1』に登場する未来都市を上映。入り口から映画の世界に誘ってくれるという心憎い演出となっていた。
観客動員数やインバウンド期待で博多を選定
そもそも「ドルビーシネマ」は2015年にオランダで初めて登場した。システムは急速に広がり、全世界では390スクリーン以上(オープン予定も含む)がドルビーシネマのフォーマットで上映されている。そのシステムはハリウッドをはじめとした映画業界からも熱い支持を集めており、現在では北米からヨーロッパ、中国に至るまでの世界中のエンターテインメント企業がドルビーシネマを導入。190タイトル以上の作品がドルビーシネマに対応している。
そしてその「ドルビーシネマ」の日本初上陸の場所に選んだのが、アジアのゲートウェイとなる博多である。ティ・ジョイ取締役の金岡紀明氏は、「博多は興行的にも盛り上がっている地域で、T・ジョイ博多自体も数字を伸ばしている。観客に新しい映画体験を提供したいというわれわれのミッションと、ドルビーシネマのシステムが合致し、導入を決定した」と、ここを最初の導入地に選んだ経緯を語った。さらに「アジアからの観光客が多い地域ということも、博多にオープンしようと思った理由のひとつ」と、インバウンド需要も見込んでいることも明かしてくれた。
ハリウッドをはじめとした世界中で絶大なる信頼を誇るドルビーが新たに提唱するシステムということで、ブラッド・バード、デヴィッド・リーチ、リドリー・スコット、ピート・ドクター、トラヴィス・ナイト、ザック・スナイダー、ジョン・ファヴロー、ギャレス・エドワーズ、ピーター・ジャクソンなど、ハリウッドで活躍する多くのクリエーターたちがドルビーシネマに魅せられたことを告白する。
「ドルビーラボラトリーズ」の創業者レイ・ドルビー博士は生前、「そこにある音や映像をありのままに届けたい。制作者の意図を忠実に再現したい」と語っていたが、この「ドルビーシネマ」のシステムはそんな彼の思いが反映されたものと言えるだろう。
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