テレビ局は危機対応が遅い「茹でガエル」だ

スカイマーク佐山会長「まだ危機感がない」

テレビ離れが進む中、スカイマーク代表取締役会長の佐山展生氏はテレビ業界を「茹でガエル」状態だと指摘する(写真:gpetric/iStock)
視聴率は下がり続け、若年層のテレビ離れは止まらず、広告収入にも陰りが見え始めている──。広告収入をアップするために視聴率を稼ごうとすれば、中高年向けの番組が増え若者のテレビ離れはさらに進む。テレビ産業は構造的苦境に突入しているのか。
そんなタイミングで報じられた、安倍政権が推進する「放送制度改革方針案」には、政治的公平を規定した放送法4条の撤廃や、民放不要論が含まれていた。結局、2018年6月に出た規制改革推進会議の第3次答申にはこうした文言は含まれず、テレビ局関係者は胸をなでおろした。しかし、答申の内容は安堵するには程遠いものだった。主な内容を意訳する。

・不足する電波帯域を確保するため、放送と通信の融合で空いた電波を取り上げる。
・国内に閉じた放送だけの古いビジネスは、技術革新に対応し、資金や人材をオープンに求め、新規参入を受け入れ、グローバル展開するビジネスに変えねばならない。
・番組の同時配信は、見逃し配信なども含めNHKと民放で共通プラットフォームを作り、そこには他のネット動画配信事業者も参加できるようにするべき。
・ローカル局は、人口減少で苦しくなる経営基盤を強化するため、ソフト・ハード分離による送出インフラ共通化や、資本提携などによる経営統合も視野に入れる。
・経営ガバナンスの確保ができているか、つまり放送局の経営が既得権益によって変化を怠り、企業価値や収益力の向上をないがしろにしていないか総務省が現状把握する。

この答申からは、テレビ業界が自ら変化しようとしている努力や、変化が難しい伝統的メディアの状況が斟酌されず、共感を得られていないことが感じられる。どうも業界の中から見るテレビの姿と、外から見た姿はかなり違うようだ。テレビの外からどのようにテレビ局が見られているのか、スカイマーク代表取締役会長の佐山展生氏にお聞きした。

共通プラットフォームをなぜすぐに作らないのか?

『GALAC1月号』(12月6日発売)(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

私はテレビが好きなんです。家に帰ったら必ずテレビをつけますし、面白い番組がなくてもテレビはついているという世代です。でもこれからはインターネット経由でテレビを見るという人が増えていきます。これは今、テレビ局の皆さんが感じている危機感以上に加速度的に変わっていくところです。ソフトをいかに視聴者に届けるかを、皆がわかるようにしないと、テレビ局の凋落は加速していくと思います。

世代に関係なく、ドラマや映画が好きな人は多いです。でも、つねにリアルタイムで見たり録画したりするのは、よっぽど好きな人だけです。大事なのは、普通に好きな人をどう取り込むか。たとえば、見たいドラマを見逃したときにどうするか。見逃し視聴が一本化され、ここに行けば無料で全部見られるとなったら、テレビドラマ分野はインターネットにまだ勝てます。なぜならドラマは簡単には作れませんから。

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