アルパインvs「物言う株主」、最終決戦の行方 臨時株主総会でアルプス電気との統合を問う

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特にアルパイン側の提案に対する賛成が3分の2よりもわずかしか上回らなかったことから、オアシス側は統合否決への自信を深めた。10月にメイヤーCOOは「すでに4割の反対票を得られた」と発言している。

「統合ではなくプロセスに反対」

オアシスが今回の統合計画に反対するのは、「統合決定のプロセスが不透明でアンフェア」(フィッシャー氏)と考えているからだ。特に問題視しているのが、アルパイン1株に対してアルプス0.68株を割り当てる株式交換の比率だ。

「統合比率が低すぎる」と主張するオアシスのセス・フィッシャー最高投資責任者(記者撮影)

アルパインがアルプス電気との統合計画を発表したのは2017年7月。それより前のアルプス電気とアルパインの株価を単純比較すると1対0.5程度だった。ところがアルパインは統合計画発表後に2018年3月期の業績予想を2度も上方修正し、最終的な純利益は当初の予想より約11倍増での着地となった。

アルパインの業績上振れ修正もあって、現在まで両社の株価比率は0.7~0.8の間で推移している。アルパインは今年2月、「2度の業績上方修正があっても、統合比率は合理的」との見解を公表したが、0.68株という統合における交換比率はマーケットから見れば割安に見える。

フィッシャー氏は「業績がよくなることを見越し、先に低い交換比率を決めて統合を発表したのはアンフェアだ」と統合決定のプロセスを批判。また、0.68株という交換比率の算定方法にも問題があるとして、独自に算定依頼して出した「妥当な」交換比率を提示した。

10月に日立傘下で同業他社のクラリオンが仏フォルシアに売却が発表されると、その売却額の算定方法からアルパインの交換比率の算定方法が不当だと重ねて主張。「アルパイン株の価値は2倍以上あるはずだ」(フィッシャー氏)と主張している。

12月5日の臨時株主総会でオアシスは、統合否決が成立した場合に1株あたり300円の特別配当を行うよう株主提案を行っている。特別配当を行ったほうが、ROE(株主資本利益率)が高まり、株主の利益になるとの主張だ。こうした提案を行うことで、他の株主に対し、会社側の統合議案に反対するよう促している。

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