アルパインvs「物言う株主」、最終決戦の行方 臨時株主総会でアルプス電気との統合を問う

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11月下旬には米議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が、統合への反対とオアシスの株主提案に賛成の意向を表明した。アルパインは26日にISSのレポートに対する反論を発表している。ほかの議決権行使助言会社は統合に賛成し、オアシスの提案に反対を推奨するところもあり、議決権争奪戦は激しさを増している。

「エリオットは統合に賛成してくれる」

そのような中で、今年に入ってアルプス電気とアルパインの株式をそれぞれ約1割を保有するようになった米投資会社、エリオット・マネジメントの動向が焦点となっている。エリオットは債務不履行に陥ったアルゼンチン政府に訴訟を繰り広げたり、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)による日立国際電気へのTOB(株式公開買い付け)で買い付け価格を引き上げたりした経験を持つ。

10月に開かれた家電・IT見本市「CEATEC(シーテック)」でのアルプス電気のブース。自動車関連技術が強調されていた(撮影:尾形文繁)

アルプス電気のほうがアルパインよりも発行済み株式数は多いため、同じ約1割の保有率でもエリオットはアルプス電気により多くの投資を行っていることになる。そのため、アルプス電気にとって好ましい今回の経営統合には賛成するとみられる。実際、アルプス電気とエリオットは水面下で対話を行っているとされ、アルプス電気側は「エリオットが賛成してくれるとの手応えを感じ取っている」(アルプス電気経営陣)。

今回の経営統合が成立すれば、エリオットは統合会社の株式を約12%持つ大株主となる。26日にアルプス電気から発表された自社株買いに対してエリオットは歓迎の意向を示しているが、アルプス電気の関係者からは「統合後に何を仕掛けてくるかが次の焦点だ」と警戒する声もある。

5日の臨時株主総会が最大のヤマ場であることには変わりない。ただ、仮に統合が決定しても、アルプス電気が「物言う株主」への警戒を解くのはまだ先になりそうだ。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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