パソナ、南部式経営に「物言う株主」が注文 低い株価、収益性の原因はいったい何なのか
「メエー」と鳴くヤギに牛、豚、フラミンゴ、フクロウまで──。
人材派遣業で国内3位のパソナグループは今年8月、東京大手町の本社に牧場を開いた。9月の農業関連イベントに登場した創業者の南部靖之・グループ代表は「酪農関連の人材を育成したい」「私はいちばん多く来ているが、動物と触れ合うことで癒やされる」と語っている。
パソナが手掛けるユニークな施設はこれだけではない。この7月には体験型テーマパーク「ニジゲンノモリ」を兵庫県淡路島に開業、さらに2015年から西日本で最大規模を誇る道の駅「丹後王国『食のみやこ』」(京都府京丹後市)も運営するなど、地方創生分野に力を入れている。
見劣りする収益水準
今後、こうした分野への挑戦は難しくなるかもしれない。
香港に拠点を置くアクティビスト(物言う株主)のオアシス・マネジメントは11月9日、「A Better Pasona」というウェブサイトを開設し、パソナ経営陣への要望書を公表。
経営資源の再配分やコスト管理の強化、ガバナンスの刷新といった内容を要求した。
レポートの作成にかかわったオアシスの紫垣拓也アナリストは「人材派遣事業や買収会社の利益率が低く、間接費が膨大すぎる」「理念は尊重するがテーマパークの建設などは度を超えている」と指摘する。
パソナの営業利益は2017年5月期に44億円、営業利益率は1.6%と、業界上位のリクルートホールディングスやパーソルホールディングス(旧テンプHD)に大きく見劣りする。
しかも上場子会社で福利厚生代行のベネフィット・ワンが58億円(2017年3月期)を稼ぎ出しており、時価総額はベネフィットがパソナの約3倍もある。
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