早稲田大学が「起業インターン」を始めたワケ 営業利益の25%を学生に支払うほど実践志向
「今日は、会社の顧客に関する仮説を立ててみましょう。顧客の抱える課題などの10項目を、法人顧客と個人顧客に分けて書き出してください」
11月上旬、東京都港区にあるコンサルティング会社・ビジネスバンクグループ本社の会議室。講師の呼びかけに応じ、参加者する大学生たちがグループに分かれて熱心に話し合いを始める。
大学生が一定期間、職業体験をする「インターンシップ」。この研修はその一場面だが、通常のインターンとは大きく異なる。まず職業体験が「起業」であること、そしてそれが大学の「授業」の一環として行われていることだ。
起業体験+インターンシップ
早稲田大学は今年から、ユニークな起業家教育をスタートさせた。学生はおよそ1年をかけて実際に起業にチャレンジする。そしてそれをインターンとして行うのだ。大きなリスクを背負う起業と、職業訓練であるインターン。一見すると相矛盾する2つの要素が入り交じっている。
文部科学省は2017年から「次世代アントレプレナー育成事業」(EDGE-NEXT)という事業を進めている。早大は滋賀医科大学、東京理科大学、山形大学とコンソーシアムを組み、その採択を受けている。この「起業インターン」も同事業の一環だ。
学生たちはインターンに取り組む前に、大学の授業でアイデア発想法や事業計画の立案方法などを学ぶ。インターンは一連の起業家育成科目の最終段階という位置づけだ。起業の理論を学んだうえで、実際に実践してみる。理論と実践の融合が、起業インターンの狙いの一つになっている。
学生たちにとって、授業を受けてインターンに進むのは、なかなかの狭き門。授業中にアイデアコンペが行われ、そこで勝ち抜かなければならない。インターン直前の前提科目の受講生は約120人だが、実際に起業インターンに進んだのは、3チーム、16人だった。
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