決戦は12月5日、武田7兆円買収へ最終攻防戦

臨時株主総会が問う欧シャイアー買収の是非

今年3月に買収観測が出た当時のシャイアー株価に対し、買収価格は6割を上乗せする大盤振る舞いとなった。純資産を上回る部分である「のれん」や無形資産(以後は両者あわせて「のれん」と表現)も3兆円近く膨らむと推測される。その結果、シャイアー買収後ののれんは10兆円を超える。

買収による巨額のれんについては、買収後に巨額の減損として破裂し、会社が致命傷を負う東芝のような例もある。こうした前例もあることから、巨額買収を懸念する株主がいるのも事実だ。

今年6月に開催された武田の定時株主総会(記者撮影)

これに対し、武田経営陣は現行の180円配当を維持することをうたい、株主を説得しようとしている。180円配維持の根拠について武田は、株数が倍増しても武田より高い利益率のシャイアーの利益が加わり、「実質の1株利益が統合後初年度から増える」と説明してきた。

株主が判断できる材料がない?

財務内容の悪化懸念に対しては、シャイアーの潤沢なキャッシュフローも上乗せされるため、これを使って借金の返済を進め、3~5年内に有利子負債を大幅に減らし、財務健全性指標(有利子負債÷EBITDA倍率)で現状の良好さを取り戻せる、というのが会社の示す青写真だ。

「考える会」は、こうした会社の姿勢を強く批判、実質的な1株利益でなく、配当原資となる「財務会計上の利益」予想を公表するよう主張してきた。単純に言うと、EBITDAは税引き前利益に利払いと減価償却費、のれん償却を加えたもの。巨額ののれんがあるほど毎期ののれん償却負担は大きくなり、結果的にEBITDAを押し上げる。

しかし、財務会計上、利払いやのれん償却は費用項目で利益を減らすという、経営陣にとって「不都合な真実」がある。実質ベースの利益やEBITDAなど非財務会計ベースでなく、あくまで財務会計ベースの予想を提示し、180円配当の維持可能性も含め、統合メリットを株主が判断できる材料を示すこと。これが「考える会」が一貫して訴えてきた主張だ。

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