中学受験で教育虐待しやすい親の2つの特徴

「あなたのため」が子どもを追いつめる皮肉

自律を学ばせるために、親子でルールを話し合い、それを守らせること自体は立派な教育です。ところが、やりすぎれば約束を盾にした容赦ない攻撃になってしまいます。どこからが「教育虐待」なのか、明確な線引きはきっとありませんが、親であれば誰でも一度や二度、「もしかして、必要以上に傷つけてしまったかも……」と思い当たるフシがあるのではないでしょうか。

成功体験と屈辱体験の融合、歪んだ期待

子どもを追い詰めてまで勉強させる親には、大きく分けて2つのタイプがあります。

1つは学歴に対するコンプレックスがあること。

自分には学歴がなくて苦労したという親は、子どもになんとしても高学歴を授けようとします。若い頃に自分が勉強しなかったこと、あるいはいい学校に入れなかったことを強烈な失敗体験として自分の人生に刻んでおり、同じ失敗を子どもに味わわせたくないと強く願ってしまうのです。

しかし、親の失敗を回避すること自体が目的化してしまっては、子どもは自分の人生を歩めません。人生に主体性もなければ自信ももてません。だから何かうまくいかないことがあるとすぐに他人のせいにする、社会のせいにする。いつまで経っても精神的な自立ができない。

もう1つは、自らの受験人生において“負け知らず”の親。

大抵の場合、人は、人生のどこかで回り道を余儀なくされ、その道程で思わぬ出会いに恵まれ、最短ルートを行くだけが人生じゃないと悟るものです。一方、幸か不幸かつねに最短ルートを進むことができてしまった人は、最短ルートから外れることを過度に恐れます。

自分の知らない道を歩ませるのは怖いので、わが子にも自分と同じ道を歩かせたいと望んでしまう。そうやって自分の恐怖をわが子に引き継いで、自分だけ安心しようとする。そんな親の恐怖を引き継いだ子どももまた、恐怖を感じながら人生を歩まなければならなくなります。それが本当に子どものためだといえるでしょうか。

さらにやっかいなのは、2つのタイプのハイブリッドです。一見高学歴であっても、実は東大に不合格になり仕方なく別の難関大学に行ったなどというパターン。成功体験と屈辱体験の融合が、わが子への歪んだ期待をもたらします。

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