会社が就業規則で休職制度を定めている場合、通常は、休職期間終了時の対応についても定めています。大体は、「休職期間満了までに復職できない場合は、退職扱いとする」「休職期間満了までに復職できない場合は、解雇する」といった内容です。
ですが、「つねに」休業期間満了までに復職できないと退職(解雇)となるかというと、そうではありません。
原則は、休職期間満了までに復職できない場合は、退職または解雇となります(就業規則に基づく「休職期間満了後の退職扱いまたは解雇」が有効となります)。
ですが、例外もあります。
(2)本人が復職を希望し医師も復職可能という診断しているのに、会社がその判断を尊重せず復職を認めずに休職期間を満了した場合
この2つの場合には、「休職期間満了後の退職扱いまたは解雇」は、違法または不当解雇であるとして無効となることがあります(個々の事案の事情によりますが、このような判断がされた裁判例が複数あります)。特に労働基準法19条1項では、「使用者は、労働者が業務上負傷しまたは疾病にかかり療養のために休業している期間は、解雇してはならない」と定めており、上記(1)のケースで休職期間満了後の退職扱いまたは解雇をすることは、労働基準法19条1項に反して無効と判断されることがあります。
もし、上記のケースに当てはまりそうな場合、またはそうでなくても「なんかこの会社の対応、おかしくない?」と思った場合は、専門家に相談してみる価値ありです。
休職期間中の「SNS」に注意
メンタルの不調にはいろいろな種類がありますが、非定型うつ(新型うつ)と呼ばれるものがあります。非定型うつの場合、仕事に行くことはできないが、好きなことや楽しいことはできる、といった症状が多いようです。
ですが、非定型うつの人がSNSなどを通じて休職期間中の旅行や遊びに行ったときの写真・コメントを掲載し、会社の人たちがそれを見た場合、「休職中に遊んでる。病気じゃないんじゃないか」といった感想を持つ可能性が高いです。
そもそも、メンタルヘルスは、本人や近しい人でないとその苦しみを理解することが難しいという特徴がありますが、それに加えて、誰かが休職した場合、同じ部署の人が休職した人の業務を分担して引き受けることになる、というのが現実です。職場の人たちは通常より仕事量が増えるため、休職している人の苦しみや状況を理解することがより難しい環境に置かれることになります。
休職期間中のSNSを通じたプライベートの公表は、内容によっては、人間関係の点で復職が難しくなる可能性だけでなく、休職期間満了が近づいた際の会社の処遇判断(復職に向けた話合いなのか、退職勧奨なのか)にも影響を与える可能性があります。この点、要注意です。
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