数字で確認!すでに「移民大国」な日本の現実 話題の技能実習生より「永住者」のほうが多い

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一方、政府の提案する新たな在留資格による外国人労働者の受け入れ数の上限については、今後5年間で約34万人とされ、平均して毎年約7万人の増加が見込まれる。2017年の実績である外国人の17万人増加に新在留資格による外国人労働者の年約7万人増加、さらに外国人労働者に帯同される家族の増加を考えれば、毎年25万人程度の外国人増加が実現可能性のある近未来といえよう。

この25万人という数字は、前出の国立社会保障・人口問題研究所の推計の前提(2015年までの外国人の動向をベースとしたもので、毎年の外国人の増加数は7万人弱と想定)を大幅に上回っている。

ここで国立社会保障・人口問題研究所の条件付き推計によると、外国人が毎年25万人増加すれば、2060年の日本の総人口は1億0411万人となり、日本人の出生率が高まらなくても政府目標が達成できることになる。

さらに、新たに日本に来る外国人の多くが20歳から39歳までであることを考えると、外国人の増加は長きにわたって生産年齢人口の増加に直結する。2060年の生産年齢人口は、2015年時点の外国人増加をベースにした推計では4792万人になるが、外国人が毎年25万人増加するケースでは5700万人に大きく上振れする。

「移民政策ではない」と言いつつ存在する「事実上の移民」

外国人増加の実態を探るために、法務省「在留外国人統計」から在留外国人数の在留資格別内訳を見てみよう。2017年末で最も多いのは「永住者」で、75万人と全体の約3割を占めた。これは近年の増加に注目が集まっている「留学」(31万人)や、「技能実習」(27万人)を大きく上回っている。

永住者は、在留期限がないので在留資格の更新の必要がない。就労の制限もほとんどなく、家族の帯同が認められている。日本人の有する権利で永住者が有しないものは、各種参政権や一部公務への就労などに限定される。永住者が「事実上の移民」とされるゆえんである。

永住者の資格要件の1つに在留期間があるが、人手不足が深刻化したバブル期に受け入れた外国人への配慮などから、1998年に必要となる在留期間が原則10年に半減された。これをきっかけに永住者は増加の一途をたどっている。

現在、政府は今回の外国人材受け入れ拡大について「移民政策でない」ことを強調しているが、政府はすでに永住者の資格要件緩和などによって1990年代から受け入れた外国人の定着を容認する方向へ大きく舵を切っており、今や永住者という「事実上の移民」がすでに外国人の最大勢力であることを理解すべきであろう。

永住者となるための在留期間は在留資格を変えても合計で10年に達すればよいので、滞在期限に上限がなければいずれ永住者になる可能性が出てくる。

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