深刻な景気後退示す米株価、GM、シティの2大経営危機が重荷

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 ディープリセッション(深刻な景気後退)入りのシナリオが現実味を帯びてきた。昨年夏のサブプライムローン問題の深刻化で始まった米国株式市場の変調。その後モノライン(保証専門会社)、政府系住宅金融公社、ベアー・スターンズ危機、リーマン・ブラザーズ破綻……と、懸念材料が次々と浮上してきた。

そして今、相場の新たな重荷としてクローズアップされているのは、米国を代表する二つのセクター危機だ。一つはGMをはじめとする自動車業界、もう一つはシティグループなどの銀行界。金融と実体経済の悪化が米国の“象徴”を襲っている。

先行きの期待と不安をTEDとVIXが示唆

市場関係者が注視する指標もそうした投資家心理の変化を映し出す。

貸借金利の目安となる米ドルのロンドン銀行間金利(LIBOR)3カ月物金利と、3カ月物の米財務省証券(TB)金利差を示す「TEDスプレッド」。信用リスクを測る物差しの一つだ。9月中旬の「リーマンショック」勃発とほぼ同じタイミングで上昇し、10月中旬には一時4・5%台と08年で最大のリスク水準に達していた。

しかし、その後は下落に転じ、2%前後で推移。流動性枯渇の危機に直面していたドル資金を、各国中央銀行が潤沢に供給したことなどが奏功、金融機関の資金繰り不安が薄らいできたのを反映している。

これに対して、投資家の不安心理の高まりを示す米シカゴオプション取引所算出のボラティリティ・インデックス(VIX)、別名「恐怖指数」は高止まったまま。11月21日時点では70ポイント台に位置しており、すべての投資家が悲観に傾いているとされる分岐点の30ポイントを大幅に上回っている(下グラフ参照)。一見矛盾するかのような二つの指標の動きは、「先行きへの期待と不安が交錯する現状」(三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長)を浮き彫りにする。

「不安」の根底にあるのは企業業績の一段の下振れへの警戒だ。株価は利益との相関が高いだけに、市場参加者は企業業績の動向に対して極めて敏感だ。中でも、GMなど米自動車ビッグ3救済の行方を注視するのも、他業界の収益にまで甚大な影響を及ぼしかねないからだ。

金融業界で国際畑を長く歩んだフォルティス・アセットマネジメントの山本平社長は、かつて目にしたある新聞記事の見出しを今でも鮮明に覚えている。「日本の国家予算が、ようやくGMの年間売り上げに肩を並べた……」。IT企業が現れるまでは長らく時価総額でも産業界トップ級だったGM。「米国の産業界の象徴を破綻させたら、米国民の自信を喪失させてしまう」と山本氏は懸念する。

株価はまだ最悪期を織り込んでいない

米国では雇用を取り巻く環境が急速に悪化している。10月の雇用統計では失業率が6・5%まで上昇した。今では7%台乗せの観測も台頭している。非農業部門雇用者数は10カ月連続で前月比減が続く。

雇用情勢の激変で消費者の財布のヒモも固くなるばかりだ。年末のクリスマス商戦は、もはや「過去最悪の結果になるのが確実」(三菱UFJ証券の藤戸氏)との指摘が多い。家電量販店2位のサーキットシティが販売不振や資金繰り悪化で破綻に追い込まれるなど、消費減退は関連企業へ暗い影を落とし始めている。

そこへ「GMショック」「シティショック」の衝撃が加われば、まさに大恐慌。自動車や銀行界のクラッシュは大量の雇用喪失をもたらす。そうなると、消費者心理が一段と冷え込むのは必至だ。米国では個人消費がGDPの7割強を占めるだけに、経済全体への打撃も計り知れない。

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