商品と並んで強調されていたのが、ソニーミュージックとソニーピクチャーズのコンテンツです。音楽に関しては、所属の世界的ピアニスト朗朗(Lang Lang)、国民的ポップス歌手の周杰倫(Jay Chou)をはじめとする主要ミュージシャンがムービーで紹介され、さらにサプライズゲストとして、人気女性歌手の楊丞琳(Rainie Yang)がステージに登場して歌声を披露しました。制止を振り切った記者たちが中央通路から舞台前に群がって撮影するという、中国らしい一コマもありました。
映画の紹介では、ハリウッドムービーのハイライトシーンが次々に映し出され、ソニーのコンテンツパワーを見せつけました。今回はPS4やゲームソフトのプレゼンはありませんでしたが、ハードウエアだけでなく世界をリードする優良コンテンツを持っていることは、サムスンやレノボとの決定的差別化ポイントであることが、中国メディアにもよく伝わったと思います。
しかし、残念ながら、このコンテンツパワーのすごさは、一般の中国人にはほとんど認知されていません。今回は、ショーの最後でソニー各社のトップが登壇して「ワン・ソニー」を強調していましたが、独立会社として運営されている各社が連携して、本当にユーザーに統合的なエンターテインメントとブランド体験を提供できるのか、真価が問われてくると思います。
⑤脚光を浴びた新ジャンル製品
展示コーナーで、中国の「新し物好き」の記者たちの関心を集めていたのは、やはり他ブランドにないユニークな製品でした。たとえば、メガネのように装着して立体映像を楽しめる3D対応・ヘッドマウントディスプレー“Personal 3D Viewer”、自分の体やラジコンカーなどに装着して「主観映像」が簡単に撮れるデジタルHDビデオカメラレコーダー“Action Cam”、スマートフォンに装着、あるいはWiFiで接続して単体で自由なアングルで撮影ができるレンズスタイルカメラ“QX10/100”など、目新しい製品に注目が集まっていました。
China Daily紙に載った記事
翌13日、新華社が発行する英字新聞に「SONY EXPO 2013」の取材記事が掲載されました。この新聞で日本企業がポジティブに取り上げられることはあまりありませんが、記事で強調されたのは、やはり「平井社長が、中国市場のポテンシャルはアメリカや日本をはるかにしのぐと述べた」という点であり、ハードとコンテンツを統合して感動体験を提供するブランドであるという主文脈は省かれていました。一方、サムスンが18%、レノボが13%を占めているスマホ市場で、現在0.5%しかシェアを持たないソニーが第3位となることを目標にしていると書かれています。
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