浪費家になる子と倹約家になる子の育ちの差 子どもにちゃんとお金の話をしていますか

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2人の子どもを持つカリ・リリーさんも幼くしてお金との関係を学んだ。彼女のお金の管理に関する最も古い記憶の1つは、母親と食料品を買いに行ったときのことである。母親は小切手で支払いをし、その場ですぐに小切手帳に記録をつけた。彼女や兄弟は両親とはお金について話し合ったことはない。ただ両親を観察していただけだ。

「両親の観察から、私はお金に関して注意深くあることを学んだ」と彼女は言う。「そのことが、私が倹約家となった一因だ。収支を合わせて節約しなければならない。余分なお金はない、と」。

親は学費1年分は払ってくれたが…

こうしたお金との付き合い方は、大学に入ってから役立った。彼女の両親は、大学1年分の学費を払ってくれたが、残りは彼女自身の責任だと言ったのだ。だから、彼女はホテルや大学の食堂で給仕として働き、自ら学費やアパート代、生活必需品などを払い、そしてしっかりと学位も得た。

現在は、建築家の夫を持つ専業主婦となったリリーさんは、自分の子どもたちにもお金に対して「慎重になるように」伝えている。

たとえば、ある日6年生になる娘が、リリーさん夫妻に「生活上の予算」について尋ねた。すると、リリーさんは、娘に食費の予算は週に100~120ドルだと教え、家族の1週間分の食品リストを作って食料品を買うようにとの課題を与えた。

スーパーに行くと、娘は即座にシリアルを4箱欲しがったが、1箱が5ドルすることに気づくとすぐにその数を減らした。彼女はきっちり予算内で買い物をしたわけだが、リリーさんはその後、娘のある変化に気が付いた。娘は以前のようにシリアル1箱をガツガツ食べることはせず、より注意深くなったのである。シリアルの値段が身にしみたことが大きかったのだろう。

心理学者で『子どもの思春期を切り抜ける』の著者であるカール・E・ピックハルト氏はこの方法に同意している。思春期最後の段階(18~23歳)の若者がどれだけ自己管理ができるかを占う重要な要素の1つとして同氏は、「若者がどれだけよくお金の管理を学んできたか」を挙げている。

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