浪費家になる子と倹約家になる子の育ちの差 子どもにちゃんとお金の話をしていますか

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ピックハルト氏は、小学校低学年になったら、週のお小遣いを3つの目的のために3つに分割して与えるべきだと提案する。すなわち、貯金、納税、消費である。貯金からはお金の蓄積によって生まれる購買力というものを学べる。納税は貧しい人々について考える助けとなる。そして、消費は一時の価値しかないものを買うか、長期的な価値のあるものを買うかという優先順位を判断することを学べる。

その後、思春期の初期から中期(9~15歳)までには、ペットの世話や庭仕事、赤ちゃんの世話など、家の外での仕事をさせるようにする。そうすることで子どもたちは、雇用主のもとで働くことや約束を守ること、責任を負うことを覚え、比較的少ないお金を稼ぐのにかかる労力を知る。さらに、お金を稼ぐことは自尊心を高めるのにも役立つ。「私はお金を受け取るに足るだけの労力を提供できる」という形で。

浪費家は通常、目先の満足感を求めている

冒頭の浪費家・倹約家の研究に戻ると、ピックハルト氏は購入に関する感情的反応について心理学的な説明をしている。いわく、若い浪費家はしばしば「衝動の制御ができず、つかの間の満足を強く求めており、先のことよりも現在に関心を持っている」。それに対して若い倹約家はより自制心が強く、計画するべき将来の可能性についての感覚を持っている。若い倹約家は浪費家がしばしば欠いている満足遅延耐性と、判断する能力とを持っている傾向にある。

こうしたことから、「両親が浪費傾向のある子どもに貯金の習慣をつけさせる価値はあるかもしれない」とピックハルト氏は言う。

アリ・シュシュマンさんは、娘が「ネズミを飼いたい」と言い出した時、拒否すると同時にひとつ提案をした。「ネズミが欲しいなら、自分で飼うべきだ」と。すると、娘は何を思ったか、スライムを作り始めた。

彼女はのり、ホウ砂(アルカリ塩の鉱床にある白い鉱物で、ガラスや陶磁器の製造に使われる)といった材料を買い集め、忙しく作業し始めたのである。それからワシントン州グラント郡で開かれたグレイトフル・デッドのコンサートに入り込んでスライムを観客へ売り、それによって300ドルの利益を上げた(材料費などを差し引いて)。そして、娘はそのお金で特大のカゴを買ったのである。「ノーと言ってからの、子どもの計画性は目を見張るモノがあった」とシュシュマンさんは振り返る。

5人兄弟の1人して生まれたシュシュマンさんも、実は家族でお金について語り合うことはなかった。が、家を出て大学に入る前に、両親は彼女にあることを教えた。それは、どのようにして収支を合わせるか、ということだった。親が言わんとしていたのは、「何をやろうとしているのか」ということと、それに対して「何をすべきか」ということを併せて考えなければいけない、ということだ。

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