単体売り上げの10〜20%を海外で
大きな可能性を秘めた東南アジアでの法人設立だが、実は小学館アジアの設立は以前から検討されており、決裁が下りるまで2年以上もの時間を要した。それでも、最終的に取締役会で判断が下された。
その背景には、日本国内の高齢化によって、読者のボリュームゾーンである若年層が減少するという現状がある。また、スマートフォンの普及などで読者の余暇時間が奪われる中、公文式などの教育業界が海外に進出することで成功を収めているケースの存在。多言語のコンテンツビジネスの可能性を探る機会であること。そして、これから何十年も出版社を支えていかなければならない若い社員たちに、やりがいのある挑戦を提供しなければならないという危機感。こうした要因があると加冶屋氏は推測する。
個人的な思いとして、と前置きしたうえで同氏は、直近3年間で5億円以上の売り上げ、また、現地で暮らす人材を雇用することでシンガポールに貢献することを目指す。5年以内には、小学館の年間売り上げ1000億円のうち、海外事業の割合を10〜20%にまで引き上げたいという。
その先に見据えるのは、「オールジャパン」態勢での日本再興だ。小学館が抱えるコンテンツの波及力で、日本の文化を広く発信し、その気運に乗って日系企業や日本製の商品、サービスの魅力も伝わっていけばいい。東南アジアでクールジャパンの風を吹かせてくれることを期待したい。
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