日本の総固定資本形成(民間企業設備と公的固定資本形成が大勢を占める)のうち最も大きな割合(住宅を除く)を占めるのが「その他建物・構築物」34.1%、2番目は「その他の機械設備等」32.1%、3番目以降は「知的財産生産物」26.3%、「輸送機械」7.6%である(実質ベース、2017年実績)。
このうち「その他建物・構築物」については東京オリンピックのための建設投資などが含まれている(景気循環上で必要とされる以上に金額をカサ上げしている)可能性には留意が必要である。
日銀が2015年12月に発表した「2020 年東京オリンピックの経済効果」によれば 、「過去のオリンピック開催国のパターンを参考にすると、関連する建設投資は、2017~2018 年頃にかけて大きく増加したあと、2020 年頃にかけてピークアウトしていくと予想される」という。
建設総合統計によると、民間・公共ともに南関東における建設投資額の増加が2017年度から顕著である。東京オリンピックの関連投資の影響を直接的に求めることはできないが、建設投資の押し上げ効果はある程度出ているとみられ、2019年以降は反動減が懸念される。
世界経済の減速と輸出鈍化で設備投資も反落へ
今回のコラムで注目した設備投資の3つのテーマのうち、②の人手不足問題への対応を含む既存設備の維持更新投資の押し上げ効果は、非製造業ではゼロではないものの、設備投資全体への影響は大きくないと考えられる。また、③の東京オリンピックに関連した建設投資は、日銀がレポートで示唆した通り、2017年以降の建設投資を押し上げてきたとみられ、今後は反動減が懸念される状況である。
結局は、①の景気拡大による設備投資の増加の部分がどのように変わるかが、今後の設備投資の動向を左右するとみられ、世界経済の減速とそれに伴った輸出の伸び悩みが、設備投資を抑制する懸念が大きそうだ。貿易戦争の激化などによって世界経済の成長鈍化が一段と鮮明化すれば、日本経済は外需に続いて設備投資という経済成長のドライバーを失うだろう。8四半期ぶりの設備投資の減少は景気後退のサインである可能性が高い。
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