努力しても「自信が持てない人」に欠けた視点

精神科医・名越康文が教える小さなコツ

仕事を頑張り、友人関係を大切にし、積極的に恋愛をし、家族や親戚を大事にする……。そうやって一見充実した生活を送っているにもかかわらず、どこか自分に自信が持てない。キラキラした生活の裏側で、心の中がカラカラに干上がっている。そうした人たちに共通しているのは、「周囲からの評価」を求め続けるなかでだんだんと心の内側が干上がっていく。そんな形の「自信のなさ」なのです。

自信があるとは「明るくて、余裕がある」ということ

私が「この人は自信があるな」と感じる人に共通しているのは、余裕があって、明るいことです。

例えばスポーツを見ていると、どの競技でも「王者」と呼ばれる強い人は、いつも限界ギリギリで力を100%出し切るような戦い方をしているわけではありません。むしろ、どれほど切羽詰まった場面でも、どこか余裕がある。ゆとりがある。だからこそ、相手のほうがだんだんとその人のペースに巻き込まれて余裕を失い自滅し、結果として「王者」でい続けることができる。ラッキーパンチでも当たらない限りは、勝負の分かれ目は、実はこの「自滅」が多いはずなのです。

「本当の自信」って、まずはそういうふうに「明るさ」や「ゆとり」を伴っているものだということです。

もちろん、それがわかったからといって「明るく」「余裕を持つ」というのは簡単ではありません。「明るく見せる」「余裕を見せる」ことはできたとしても、それだけでは「自信がある」ことにはならない。

実際に「明るくて、余裕がある」状態でやるべきことをこなせるかどうか。それは突き詰めれば、その人の「地力」が練られたとしか言えないものかもしれません。ただ、自分に自信を持つためには「明るい自分」「余裕のある自分」でいることが大切なのだということがわかると、努力の方向性がはっきり見出しやすくなってくるとは言えるわけです。

僕自身はもともと、自分に自信が持てない人間でした。「でした」と過去形でお話しするのは、最近はどういうわけか、あまり「自信がない」という感覚がなくなってきたからです。別に今でも「自信満々」というわけではないのですが、以前に比べると「自信がなくて、不安が襲ってくる」という場面が少なくなってきた。

そのポイントのひとつは、ある種の「あきらめ」です。「自分はこうあるべきだ」というこだわりを捨てること。頑張ってなんとかなることと、なんともならないことの区別をつけていくこと。自分にできること、できないことの整理がつくにしたがって、以前に比べて自己嫌悪に陥ったり、自信を失って落ち込む、ということが少なくなってきたのです。

「自信が持てない人」に共通するのは、「キラキラした自分」や「成功している自分」への期待と、そうなることができない現実とのギャップです。自分に自信が持てない人は、いつもそのスパイラルのなかで苦しんでいる。そこから抜け出すための一歩は、適度な「あきらめ」を身につけて、自分のできる範囲に目標を定めることなのです。

そうすることで、気楽に実績を積み重ね、自分への自信を高めていく道が開けてくるんです。

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