実は超難しい「乳がん診断」、スゴイ新技術 死亡者ゼロを目指す、ある研究者の野望

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「マイクロ波マンモグラフィの検査は、マイクロ波のアンテナで乳房をそっと撫でるだけです。X線マンモグラフィのように乳房を板で挟み込む必要もありません。女性たちの願いだった『痛くない乳がん検診』が、もうすぐ実現できると確信しています」

マイクロ波マンモグラフィによる検査の様子。検査は、微弱なマイクロ波を出すアンテナで乳房をなでるだけで完了、数秒後には検査結果の画像が得られる(写真:HILLS LIFE)

「痛くない乳がん検診センター」を世界中に

木村教授らが開発したマイクロ波マンモグラフィは、現在、大学病院や民間のクリニックで臨床研究を行いながら、効果の検証とさらなる改良が進められ、数年後には製品化することを目指している。そして木村教授は、さらにその先を見ている。

「数年前に設立した大学発ベンチャー企業で、この技術を使った乳がん検査サービスを提供したいと考えています。マイクロ波マンモグラフィを使った『痛くない乳がん検診センター』を世界中に作って、乳がんで亡くなる女性が1人もいない世界を実現したいんです」

木村教授は、研究者としてのあくなき探究心と発明家としての強烈な情熱、そして起業家としての大きな野心をあわせ持った稀代のイノベーターだ。真のイノベーターは、単なる理論家でも実践家でもなく、その両方を極限まで追求する者ではないだろうか。そうでなければ、世の中を変えるようなイノベーションは起こせないと知っているのだ。

(TEXT BY ATSUHIKO YASUDA@XOOMS)

木村建次郎(Kenjiro Kimura)/神戸大学数理データサイエンスセンター教授。京都大学大学院で電子工学を専攻、博士課程を修了した後、JSTさきがけ研究者・A-STEP研究責任者を経て、神戸大学に着任。2018年から現職。一貫して「モノの中を見る技術の開発」に理論と実践の両面から取り組む。画期的な理論に裏付けられた成果の応用先は、蓄電池、トンネル壁面、構造物、人体など多岐にわたる。2012年、株式会社Integral Geometry Scienceを設立し、開発した検査機器の製品化と社会への展開にも取り組んでいる。2017年、マイクロ波マンモグラフィの開発で 日本医療研究開発大賞・日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞を受賞。

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「HILLS LIFE DAILY」編集部

六本木ヒルズ開業の翌年に創刊された、都心エリアのためのライフスタイルメディア。都市生活者に向け新たな情報やトレンドを伝え、アイデアやビジョンを広く提案しつつ、東京という街のクリエイティブな可能性を高めてゆくことを目的としている。

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